コラム

上司の話、しっかり理解できている?大人に必要な「理解力」5つ

理解力に自信はありますか?

理解力はテストや入試だけでなく、日々の仕事でも重要です。

上司からの指示、顧客からの問い合わせメール、業務上必要な資料……こうしたものが正確に理解できなくては、トラブルにつながりかねません。

学校の国語に苦手意識を持っていた人は、ビジネスに活きる汲み取り力として、以下の5つのポイントを押さえてみましょう。

 

(1)5W2Hで話を正確に理解する

「何となく」はトラブルのもと。

正確に情報を把握するには、5W2H、すなわち、

W WHEN いつ
W WHERE どこで
W WHO 誰が
W WHAT 何を
W WHY なぜ

H HOW どうする
H HOW MUCH どのぐらい、いくら

を押さえる必要があります。

上司から「これ、やっといて」などと、漠然とした指示を受けるときがあります。

そのときは、自分から「いつまでですか?」「仕上げたら部長にお渡しすれば良いですか?」「これ何用ですか?」などと、5W2H情報を確認するようにしましょう。

(2)逆接の後に注目する

例文:全体としては売上は伸びているものの、A部門は不振が続いている

 

日本語は、文(文章)の後ろに結論を持って来ることが多い言語です。

「○○だが、✕✕」「○○だ。しかし××」のように、逆接が含まれている場合、逆接の後ろが本当に伝えたい内容です。

ですから、上の例文を目にして「あ、全体としては伸びているんだ!」というほうに注目してはいけないわけです。話者が注目しているのは、A部門の不振のほう。 なお、「○○だけでなく△△も」という形も、△△のほうに注目します。

「彼は専門のマクロ経済だけでなく、行動経済学にも詳しい」とあれば、行動経済学に詳しいことのほうが重要なのです。

(3)具体例とまとめを区別する

例文:当社の新規事業にも競合が出てきている。X社は価格が売りの◯◯というサービス、Y社は個別対応が売りの◇◇というサービスで少しずつ顧客を増やしている。

 

例文は、1文目が「まとめ」、2文目が「具体例」です。

この例文に限らず、説明ではよく、
・「【まとめ】。例えば、【具体例】。」
・「【具体例】。このように、【まとめ】。」

のように、まとめと具体例がセットで出てくるものです。

具体例はイメージしやすく、インパクトもあるので、つい注目が行きがちですが、重要なのは、まとめの部分。

「新聞を読むとか、社会を知る努力が必要だ」と言われれば、「よし、新聞を読もう!」とすぐに飛び付いてしまう人が多いのですが、話のポイントは「社会を知る努力」のほうです。

自分が社会を知るならどの方法がいいのか、新聞なのかニュースアプリなのか、きちんと検討したいところ。 常に、話の本質を押さえるようにしましょう。

(4)ポジティブ・ネガティブを汲み取る

例文:実態を把握する必要がある。

 

「実態」という言葉から、ポジティブ・ネガティブ、どちらの印象を受け取りますか?

辞書的な意味としては、「実際の有様、状態」というだけで、肯定的でも否定的でもないのですが、この語が使われるのは、たいていネガティブな文脈です。

表には出ていない(あるいは、出せない)ような、問題も多い生々しい実情を指して使う言葉なのです。

単語や言い回しの持つポジティブ・ネガティブな空気を感じ取る、これも理解力の一つです。

(5)皮肉を汲み取る

例文:山田さん、作業が丁寧なのは良いんだけどね。

 

この例文は、大雑把に捉えると、作業の丁寧さを褒めているように見えるかもしれません。ただ、これは皮肉だと理解すべきです。

相手が訴えたいのは、「作業は丁寧かもしれないが、仕上がりが遅くて迷惑している」ということ。嫌味を言われているのであって、喜んではいけません。

皮肉を汲み取るには「助詞」に気を付けます。「山田くん【】終わったようだ」というときの【】のような部分を助詞と呼んでいます。

「山田くん【】終わったようだ」という場合、この【】一つで、「山田くんは終わったようだけれど、他の人はまだかい?」というメッセージを匂わせています。

さえ】【すら】【】【まで】【だって】【でも】なども、裏に色々な想いがこもっているので、ちょっと深読みしてみましょう。

もう一つ、注意したいのが文末です。「〜だけど」「~ですが」などと、逆接の形で終わっている場合、その後ろに伝えたい本音が隠れています。

 

理解力はどんな職種でも必要な、仕事の基礎力です。

話のポイントは何か、言葉の真意はどこにあるのか、意識して正確に汲み取っていきましょう。

 

文/吉田裕子 
国語講師。塾やカルチャースクールなどで講師を務めるほか、『テストの花道 ニューベンゼミ』(NHK Eテレ)に国語の専門家として出演するなど、メディアでも活躍中。東京大学教養学部卒。

画像/shutterstock(Keisuke_N、takayuki) 参考文献/吉田裕子著『読みトレ』(大和書房)

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