インタビュー

【連載】素敵な同世代のリアルフェイス‐素顔をつくる5つのキーワード‐第12回 渡邉香織さん

5つのKeywords:留学2回、転職2回を経てイラストレーターに

―JJ6月号で「スラッシャー」という企画にも登場いただいた渡邉さん。実は会社員として働いた企業は、2つあるとか。

外資系のIT企業と、同じく外資系のECサイトを経験しました。元々そういった会社に行こうと思っていたわけではなく、そもそも大学では義足について勉強していたのですが。

―義足の勉強に至るまでも留学も経験されていたそうですね。

英語に興味を持ったのは元をたどれば小学生の時。オーストラリアに留学をして、全然英語が話せなかったのが子どもながらに悔しくて。言語という毎日みんなが何気なく使っているもので、それを使えないだけでこうも生きづらくなるんだなと思ったのが外の世界への興味に変わりました。そのあと高校の時に晴れて3年間カナダの高校に通うことになりました。両親が一度帰ってきなさいというので大学入学を機に帰国したのですが、まだ海外に残りたい気持ちはあって…。そこで、国内にいても1年生の時から好きな分野を学ぶことができる慶應義塾大学の湘南藤沢キャンパスに入りました。

―その大学時代でデザインの勉強に目覚めたとか。

元々グラフィックデザインは好きだったのですが、教授にひかれたこともあり、最初はプロダクトデザインのゼミの中で義足班に配属されました。いろんな分野を横断的に学べる学部だったので、デザインだけではなく義足を履く人が身体をどう知覚しているのか哲学を通して学んでいました。そののちデザインと哲学のどちらもが盛んなパリに大学4年生の時に留学することになりました。

 

―元々のパリ留学はイラストを学ぶためではなかったんですね。

きっかけはそうですね。パリでは芸術学部に入ったのですが、実際に入ってみるとデッサンも真面目にルールにのっとって描いているだけだし、なんだかここまできてルールにとらわれているのが面白くないな、と思うようになったんです。それからはせっかくパリにいるんだからと街に出て、街行く人のファッションや座っているおじさんとかをイラストで描くようになりました。それが自由で楽しくて!その時はまだまだ、イラストを仕事にしよう、とは思っていませんでしたが。

―イラストレーターとして本腰を入れようと思ったのはいつですか?

絵を描くのは大好きだったから、ちょっとずつ自分のインスタで発信はしていて。それがいつしか仕事になっていました。とはいえ、イラストレーター一本という気持ちもありつつ、今は会社員と並行して働くのもいいなと思っています。JJのスラッシャー企画の時も少しお話させていただいたんですが、チームワークで何かを成し遂げることができるのって、フリーランスよりも会社員の時の方が多い。イラストは一人でも描けるけど、そういう「みんなで何かをする」ということに関しては、フリーランスでなくどこかに所属する良さがあるな、と思います。

渡邉さんの仕事道具と過去のイラストたち。イラストを描くことが多いのは自分のアトリエか、スタバなどのカフェ。旅行先で手のひらに描くイラストも人気。

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