オーディション番組「PRODUCE 101 JAPAN」から昨春にデビューした話題のグローバルボーイズグループ「JO1(ジェイオーワン)」。4月28日発売の3RDシングル「CHALLENGER」でセンターを務めるのは、存在感のあるパワフルボイスで注目を集める河野純喜さん。JO1といえば、MVを見れば一目瞭然、K-POP仕込みのパフォーマンス力の高さで、日本のアイドル界に一石を投じる存在です。そんな3RDシングルのセンターを務める河野さんですが、2年前までは就職活動をしていたごく普通の大学生。どうやって彼は夢を掴んだのでしょうか。

「小さい頃の夢ですか? サッカーのブラジル代表だったロナウジーニョ選手が好きで、プロサッカー選手になりたいな、と思っていました。アーティストには、ぼんやりと憧れているレベル。ただ、歌うことはずっと好きで、道端でずーっと歌っているような子供でした」

小1からサッカーを始めて、中学、高校とサッカー部に所属。高校では全国大会へ出場するほど、サッカーにのめり込んだらしい。

「小学校5年生の頃だったかなぁ。アシタカ(※「もののけ姫」の主人公)になりたいな、とも思っていました(笑)」

取材班の緊張した空気を和ませようと、チャーミングな笑顔で小さなボケを挟んでくれる。何でアシタカになりたかったんですか? と理由を尋ねると「優しいし、カッコいい。アシタカみたいな人になりたい」と答えてくれた。

河野さんにはデビュー時から取材をさせてもらっているが、取材中に見せる姿は、いつでも優しくてカッコいい。スタッフへの温かな気づかいや仕事への真摯な姿勢は、どうやらアシタカへのリスペクトによるものだったらしい。そんな真っすぐな彼が、なぜ「歌を仕事にする」ことから目を背けてきたのか―。

「歌を仕事にする―、それは遠くにある“夢”であって、絶対に叶わないものなんじゃないかな、と自分で勝手に思ってしまっていて…。歌を真剣に学ばないまま、高校生の頃に一縷の望みに賭けてオーディションを受けたけれど、やっぱりダメで。高校3年生になって『今からレッスンなんて無理やな…』と、大学受験をしました。だけど大学時代も、何となく歌への夢が捨てきれなくて。でもしっかり歌を学ぶことはせずに自己流で練習して、オーディションを受けてみるけれど落ちる…、の繰り返し。あっという間に大学4年生になって、何となく就職活動をスタートしました」

その年の就職活動は、6月1日から一斉スタート。その1日前の5/31が「PRODUCE 101 JAPAN」の応募締め切りに。スーツを着て就活の準備をする合間を縫って、一人で練習場をおさえて課題曲を練習し、ぎりぎりの5月31日に応募。それが彼の転機になった。

「就活って、自分がどんな人間で何をしたいか、ずっと自己分析をしますよね。しっくりこないまま、就活の準備をしている感覚があって…。応募締め切り日に滑りこんで、本当に運良く101人に選ばれました」

その夏からのオーディション番組に参加するにあたって、すでに得ていた大手企業の内定を辞退。「就職活動をする中で、自分がやりたいことをどんな形であってもできている人生がいいな、と。オーディションに落ちたとしても、今まで逃げてきた夢に納得するまで向き合いたいと思って、内定を辞退しました」。番組では、歌もダンスも未経験ながら、ポテンシャルの高さやひたむきな姿勢、人柄の良さで視聴者を魅了し、見事デビューを掴むことになる。 “夢”を叶える秘訣を聞いてみると―。

「まず101人に選ばれたことが、奇跡だと思いましたね。その奇跡が起きたのは、挑戦があったから。夢をつかむためには、何でもいい、小さな一歩でもいいから、挑戦することに尽きると思います」

JO1は、昨年の3月4日にデビューシングル「PROTOSTAR」をリリース。しかし世の中は、コロナ禍に見舞われることになる。デビュー後は一度もファンからのリアルな熱量を受け取れないまま、夏には2NDシングル、冬に1STアルバムをリリース。「ファンに会えないという状況が、僕ら的には結構キツくて…」と語る。いずれも売上ランキングは1位を獲得。昨年は「#JO1」がTwitter Japanのミュージック部門で1位を獲るほどファンは熱狂していたが、リアルにそれを感じとる機会がなかったのは、かなりハードだったようだ。そんな中、4月28日に発売される3RDシングルのタイトルは「CHALLENGER」。河野さんが初のセンターに抜擢された。

“夢”を仕事にする―。河野さんにとってすら、夢は時に目を背けたくなってしまうほど眩しいものだったらしい。そして、「夢は叶わないもの」と諦めそうになった瞬間も一度や二度ではないのだろう。それでも、夢を一度つかんだ彼は、未曽有の状況で思うような活動ができなかったデビューイヤーも、ひたむきに前へ突き進む姿でファンを照らし続けてくれた。

「今後の夢ですか? JO1としては、もっともっとパフォーマンスを認めてもらえるように頑張って、いずれはドームツアーやワールドツアーをやりたい。個人的には、音楽的にもっと強い存在になりたいです。歌唱スキルも上げたいし、作曲や作詞、楽器も頑張っています」

メンバーと夢を語り合いますか? という質問をすると、「みんな、めっちゃ語りますよ。全員と語り合っていますね」と即答。JO1の今後や個人での活動、熱い話は尽きない様子。2年前までは普通の男の子だった11人。夢をつかんだ彼らと一緒なら、きっと私たちも夢への一歩が踏み出せる気がした。

ジャケット¥69,300シャツ¥25,300パンツ¥35,200靴¥57,200(すべてラッド ミュージシャン/ラッド ミュージシャン 原宿)その他スタイリスト私物

Photography_Yuhki Yamamoto
Stylist_Masaaki Ida
Text_Yuriko Kamei
Design_Yoshitatsu Yamaya<Ma-hgra>
Composition_Dai Iwaya

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