ミラさんが環境や社会問題に興味を持つようになったのはイギリス留学時代。美術大学で学びながら感じた“日本との違い”に接したことがきっかけだと言います。どのようなプロジェクトであっても「可愛い」や「カッコいい」というだけではなく、社会問題を軸に洋服作りやメディアの記事が展開されていく様子に徐々に感化されていったそう。

「街で会った人たちとの会話も違いました。タクシーの運転手さんにEU脱退について聞かれたこともありました。当時は『なんで関係のない私に聞いてくるんだろう』と思っていたのですが、社会や環境の問題、政治についても問われたり、意見を求められる機会が多かったんです。だから(EU脱退について)気になって調べてみると、私が住んでいた日本にも影響があることだったり、当時住んでいた場所にも関係があることに気づかされました」

それまでも気にかけてニュースを見ていたつもりだったものの、自分の意見を他人に伝えられるほど咀嚼できていなかったと反省し、社会や環境問題に当事者意識を持つことになる。

何も知らなかったミラさんがまず始めたことは、分からない言葉をひたすらネットで調べること。さらに、その情報を日々アップデートすること。リベラル派からそうじゃないメディアまで、本も含めてたくさん読むこと。

「知らないことがあるのが好きじゃない」と語る彼女は、「とにかく調べ魔」だと自認する。調べていくと、ある時点では正しいと思っていた情報にも違う側面があることを知る。当然意見が変わることもある。エコバッグやマイボトルが果たしてエコなのか? と最近は疑問に持つようになった。

「私が最近読んだのは、水筒を9000回使わないと、ペットボトルよりも優れた環境のための行動にならないという記事。仮に半分以下 の3000回使おうと思っても約8年使い続けなければいけないことになるんです。それって小学校1年生から6年生までの時間よりも長くて、そうなると私は自信がない。むやみやたらにエコバックやマイボトルをススメられなくなってきました」

「だからマイボトルを持っていなくても、ペットボトルをしっかり分別することだってサステナブルな行動の一歩になると思います」

こういう情報に接するたび、『サステナブルに正解はない』という思いを強くするそう。人によってライフスタイルも違えば、情報の解釈の仕方も様々。だからこそ、「調べることが一番大事なのでは?」と今は考えています。

「自分が信頼していた業界や会社やモノが本当に信じられるものか、気になるものをとにかく調べてみるのが一番のサステナブルかもしれない」とも。

どんなところにスポンサードしていて寄付しているのか、広い視野で情報を集めてから自分なりの価値観で行動すればいいというのが彼女なりの意見。

「答えを提供するよりも、私の活動が誰かにとって考えるきっかけを与えられたらいいなと思うんです。どんな問題でも、“みんなににこうして欲しい”とは思ってないです。日本って自分で考える教育をされていないので、(みんなが自発的に動けば)大きな一歩になるんじゃないかなって感じています」

私たちが暮らしている社会や環境問題について当事者意識を持って生きている彼女に、『長谷川ミラさんってどんな人?』と聞くと、

普通です、普通の24歳。毎日美味しいご飯を食べて、働くのも好きで、大切な親友や家族と過ごすのが好き。あんまり深くは考えていないんです。ドキュメンタリー番組を観て苦しい気持ちになるときもありますが、常にシリアスなことを考えているわけでもないんです。『今は無理―!』って切り替えたりしながら生きてますよ(笑)」

自分のことを「普通」とは言いながら、これからも大切な人たちとより良い未来を過ごしていくために活動していくであろう彼女の言葉を聞いていると、『サステナ』って意外とシンプルなのかも? と思えてくる。例えば自分が好きな洋服やコスメブランドについて知ろうとする。身近なことを調べるだけで、今までとは違う景色が広がることがきっとあるはずです。



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Photography_Daisuke Sasaki<SIGNO>
Stylist_Erika Abe<FUKUSHIMA>
Hair Make-up_KATO<TRON>
Text_Aiko Ishizu
Design_Yoshitatsu Yamaya<Ma-hgra>
Composition_Dai Iwaya

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