丹羽仁希――。2021年2月現在80万人を超えるフォロワーを抱え、「Niki」の名で活躍する彼女が、大阪・梅田で撮影されたファッションスナップをきっかけにデビューしたのは、2014年、17歳のときのこと。同年に開催された日本最大級のオーディション「TOKYO GIRLS AUDITION 2014 AUTUMN/WINTER」で2万人の頂点に立った。「テラハのNiki」「今日好きのNiki」「J JモデルのNiki」…。“成功者”の階段を着実に歩んできたように思える彼女だが、本人は「その言葉がピンと来ない」と首をかしげる。

「7年を振り返って、楽しくやってこれたのは間違いないけど、何が“成功”なのかの基準自体を持ってないのかも。始めた頃は、きっと1〜2年が寿命だろうと思ってたから、長く続いているなとは思ってます」

飄々として見えるNikiだが、イメージに反して、「モデルを始めた時から、いつでも自信はない」と語る。最初は「モデル」を名乗ることすら躊躇っていた。

「しばらくは『学生』って自己紹介してました(笑)。モデル、ってどこからモデルなのか難しいじゃないですか。友達に頼まれて撮影したのもカウントされるのか、サロンでヘアモデルを頼まれるのもモデルなのか。事務所に所属したからって、それだけで仕事が来るわけでもない。最初のオーディションも、『私には無理だよ〜』って思ったけど、出るからには負けるのが恥ずかしい。求められたらやり切りたい気持ちもある。自分がなりたいものを目指すよりも、チャンスが来たら逃さないのが得意なんだと思います。今、目の前にあるものに対して全力で向かって、ここまで来ました」

「モデル」だと名乗れるようになったのは、20歳を過ぎた頃。「TERRACE HOUSE ALOHA STATE」への出演が転機だった。大学が春休みの2カ月間の限定入居だったが、「テラスハウス史上NO.1美女」のフレーズが知れ渡り、世間に爪痕を残した。

「自分のことをラッキーだと思う?」と尋ねると、少し考えてから「めちゃくちゃ運がいい、とは思っている」と答えた。

「ただ、運だけで来たかというと、そんなに甘い世界じゃない。生きていれば誰にでも、何かしらのチャンスが来ることはあると思うんだけど、私はそういうときに120%で臨む。テラハに出た時も、最初は『共同生活とか絶対無理〜』と抵抗したけど、『でもハワイは住んだことないから、行けたらめっちゃ楽しいかもな』って気持ちが湧いてきて歩み出せた。『ゆるりと生きてるな』って思われたいから、本当はこういうこと言いたくないんだけど(笑)。『無理〜』って言いながら、でも負けたくはない」

一歩を踏み出すのには時間がかかるが、歩みだせば全力で楽しめるのがNikiの持ち味。仕事で喜びを感じるのは、周囲から求められているものを自分がしっかりと表現できたときだそうだ。自分らしく生きているからこそ、モデルとしての撮影では、「完全にハマる」のがやりがいだと、Nikiは言い切る。

「『もっとこうしたい』と自分のカラーを出していくモデルさんもいるけれど、私は、その仕事で求められていることにぴったり合わせていくのが楽しい。ハマった瞬間の『ああ、いいね』『最高なの撮れた』ってみんなが盛り上がっているのを見るのが何より嬉しい。だから、最終的に選ばれたカットが自分的に盛れてなくてもいいんです。NGを出すことも滅多にない。『自分からすると一番気に入った写真ではないんだけど、客観的にはこういう雰囲気が求められてるんだ』と勉強してます」

イメージキャラクター、女優、バラエティタレントと、活動の幅を広げてきたNiki。今は、迷わず「モデル」を名乗っているのだろうか?

「私が何なのかは人が決めることだと思ってるけど、自分ではやっぱり『モデル』かな。だんだん商品や会社のイメージキャラクターのお仕事も増えてきて、顔やスタイルだけじゃなくて、私のイメージごとの“Niki”が求められるようになってきたので、『タレント』でもあると思うけれど」

今年、25歳を迎えるNiki。地元の神戸では、結婚・出産する友人も増えてきた。20代後半の自分について想像することはある? と尋ねると、「全くわからない」と即答した。

「想像することはあるけど、全く未知ですね。結婚する、しない、どっちでもいい。仕事でも、目標を定めてないんです。叶わないと嫌だし、すぐ達成しちゃってもつまらないし。目指すもののためにそのほかのことを犠牲にするのも嫌。人生の選択肢はそれだけじゃないと思うから。求められているうちは応えて、そうじゃなくなったら、そのときに違うことを考えます」

「良くも悪くも、いろんなものを見れるのがこの仕事の醍醐味」と微笑むNiki。2021年、彼女がどんな光景と出会うのか、とても楽しみだ。

ワンピース¥58,000(EZUMi/Ri Design.Ltd)サンダル¥14,000<Mollini>ピアス¥19,000ネックレス¥27,000<ともにTEMPLE OF THE SUN>(すべてジャック・オブ・オール・トレーズ プレスルーム)

Photography_Hana Yoshino
Hair&Make-up_KATO<TRON>
Stylist_Erika Abe
Text_Hirarisa
cooperation_Rena Kani
Design_Yoshitatsu Yamaya(Ma-hgra)
Composition_Dai Iwaya

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