この数年で、10代の憧れの職業になった「Youtuber」。トップクラスの人気を誇りながら、2021年1月に解散を発表した三人組がいる。2017年に結成された「さんこいち」だ。140万人の登録者を抱える彼らの突然の発表に、視聴者は大揺れ。1カ月経った現在も、余波は残っている。

「自分が想像していたよりも、はるかに多くの人に支えられていたんだ、と解散を通じて改めて気がつきました」と、メンバーの一人・古川優香は振り返る。読者モデルからキャリアをスタートし、タレント、コスメプロデュース業など、多彩に才能を発揮している24歳だ。

「さんこいち」メンバーであるほりえりく、Yapp!とは、趣味で運用していたTwitterを機に知り合った。2013年に大阪・アメリカ村のマクドナルドで初めて顔を合わせ、「卍俺ら最強さんこいち卍」という名前のLINEグループを作成。上京を挟んで交流を続け、2017年にYoutuberデビューした。

「K-POPが好きで、他のファンと交流したくてTwitterを始めたので、そこから仕事につながる…なんて全然思ってなかったんです。大体、芸能活動を続けるつもりも本当はなかったんですよ。『推しに会いたいから通訳になりたい』くらいの夢しか持ったことはなかった(笑)。アメリカ村で友達とワイワイできるのが楽しくて、マクドのハンバーガーばかり食べてる高校生でした」

そんな古川だが、ほりえが上京予定だと聞いて、自分も上京を決意。東京のモデル事務所に所属し、芸能活動を継続した。「本当に突然決めたから、お父さんには自分で言えなかったですね。お母さんから言ってもらいました」と苦笑する。

「そこまでお仕事が舞い込むわけでもなかったので、Youtubeを始める前の2年は、永遠に原宿行ってました。なんで焦ってなかったんだろう?って、めっちゃ思います(笑)。でも、プライベートも楽しかったし、今、東京で関わってる人たちに出会えたのもその2年なんです。振り返ると、無駄ではなかった」

Youtubeを始めるときには、抵抗はなかったのだろうか?

「りっくんから『Youtubeやらない?』と言われたときは、そこまでピンと来てなかったんです。自分ではあまりYoutubeを見てなかったし、『Youtuber=テレビではできない過激なことをする人?』という先入観があったくらい。でも、もともと日常的に動画を撮るのは好きなタイプだったので、始めたら、あんまり無理なく続けられました」

さんこいちでも、個人チャンネルでも、可憐な見た目ながら体を張った企画に挑戦したり、驚くほどに自然体なプライベートを見せたりして、同世代〜下の世代の女子から憧れの視線を集めてきた古川。2020年に発売された『#てんこもりフルカワ古川優香スタイルブック』では、「古川優香になりたい」というキャッチコピーが使われたほどだ。

「なりたい、って言ってもらえていることに対して、今でも実感が湧かないんです。単に外見だけじゃなくて、のんびり好きに生きているところを言ってもらえてるんだと思うので、うれしいですよね。周りの人に恵まれてるのもあるんだけど、『自分じゃない人に生まれたかった』と思ったことがない。ずっと、のんびり、そのまんまで生きられていますね」

同じくYoutuberであるサグワとの交際を公表し、動画やSNSでも仲睦まじい様子をアップしている古川。プライベートをファンに知られることに、抵抗はないのだろうか?

「最初は、やっぱり見栄がありましたよね。キレイなところやいいところだけ見せてたいって気持ちはあった。例えば私の顔って、自分では、左半分の顔のほうが気に入ってて、自撮りでは左頬がいつも右を向いて、顔の左側を見せるショットにしてたんですね。でも、動画に出るようになったら、ずっとそっちを向いてるわけにもいかないじゃないですか。一生キメ顔ではいられない。もういいや、って顔のどの角度を撮られても気にしないようになって、他のことにもこだわりがなくなって、お家の中も見せるし、スッピンも見せるし、彼氏も見せるし…ってなっていきましたね。隠していても、街でデートしてるのが噂になったりもするから、それなら自分から出しちゃえって思った。そうしたら、かなり気楽になりました」

「出してないのは住所くらい」と笑う古川。一方、ネット世代を見ていると、本当の自分とは別にネット上のキラキラした自分を演出していく「セルフブランディング」の風潮も根強い。どう思うだろうか?と尋ねてみた。

「私はすごい素敵だなと思ってる。ネットって、情報収集ができるだけじゃなくて、うまく使えば世界が広がるし。プライベートに使うのもいいけど、見てる人が多くても少なくても、誰かに対して発信することに意義があると思うんです。私はありのままを出す方向でそれをやってるけど、いろいろなやり方があると思う。誰かに見られてるってことに意味を感じて、そこに向き合ってる人のことは応援したいです」

「ありのままを隠さない」という、誰にとっても一番難しいだろう戦い方で視聴者を獲得してきた古川。彼女だからこその実感がこもった、優しい言葉だった。

シャツ¥14,800(MAISON SPECIAL AOYAMA)パンツ¥13,500(N.O.R.C by the line/N.O.R.C)ピアス¥18,500(セシル・エ・ジャンヌ)パンプス¥4,500(mite)

Photography_Hana Yoshino
Hair&Make-up_YUZUKO
Stylist_Erika Abe
Text_Hirarisa
cooperation_Aiko Ishizu
Design_Yoshitatsu Yamaya(Ma-hgra)
Composition_Dai Iwaya

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