「今年で24歳になることもあり、最近、焦らないとダメだなって思うようになりました。デビューしてからの5年半は一瞬だったし、アイドルって永遠じゃないから、そろそろ将来を考えながら活動しないと、って。お仕事に対するスタイルも、待つんじゃなくて、自分からやりたいことや好きなことを発信して、チャンスを掴み取りにいかないとなって思っています」

自分の意思を周りに伝えて、自発的にチャンスを掴んでいきたい——。そうポジティブに思えるまでの道のりでは、うまく自分を表に出せずに悩んだことも。

「デビューしたての頃は、自分から話せなかったり、他のメンバーに頼ってしまって、収録でも自分を出せずに終わってしまうことばかりでした。ネガティブで自信もなくて、周りにも心配をかけてしまい、その負のオーラがみんなにも広がるっていう悪循環も、もしかしたらあったかもしれません、お仕事も受け身のことが多かったですし」

自分の感情をコントロールできるようになったのは、二十歳を過ぎた頃。

「ネガティブになっていてもいいことないなって気がついたのと、落ち込んだり、涙を流したり、自分の弱い部分を周りに見せるのは、恥ずかしいなって思うようになったんです」

「今は自分にしか弱い部分を見せない」と言い切る彼女。「大人になったのかも!」とうれしそうに笑う。

「デビューしてからの5年半を振り返ると、内面が1番変わったと思います。ネガティブからポジティブになれたことで、お仕事への向き合い方も変わりました。服が好きだからモデルをやってみたいとか、話すことに慣れたいからラジオにも挑戦したいとか、自分の意思を周りに伝えられるようになったのは大きな変化でした。黙っていたら誰も気づいてくれない。夢を叶えるためには自分から動かなきゃいけないということも、欅坂46が教えてくれたことです」

“モデル”という居場所も、自らチャンスを掴み取った結果のひとつ。アイドルとは求められることが違う環境の中、JJの現場では毎回「今日はどんな撮影ですか?」と企画意図を積極的に汲み取り、カメラ前で表現する姿が印象的だった。

「モデルは本当に好きなお仕事。いろいろな服が見られるし、元々憧れていたヘアメイクさんにも会えて、どの現場も楽しい! アイドルの活動ではヘアやメイクに自分なりのこだわりを出すこともあるけれど、モデルの現場ではそういうこだわりを持たないようにしています。自分に似合う服とかメイクを決めつけてしまうと新しい自分に出会えないし、自分の幅も狭めてしまうと思うから」

モデルの仕事は、いい意味で土生瑞穂らしさを忘れて、「新たな自分の可能性に出会うきっかけをくれるもの」だそう。グループとしても個人としても活動の場を持ち、順調にステップアップしているように思える彼女。「自分のキャリアをどう捉えている?」との問いには、「成功しているかどうかは分からない」と答えた。

「でも成長はしていると思う。ポジティブになれたことで挑戦してみようと思えるようになったし、自分に余裕も出てきた。なりたい自分に完璧になれたわけじゃないけど、どんな場面でも自分らしくいられるのは、キャリアを経て身についたことだと思います」

アイドルのときも、モデルのときも、自分を偽らないことが信条。

「アイドルやモデルという枠を超えて、本当の自分を好きになってもらいたいから、自分を偽らないことは心掛けています。自分を閉じ込めたり、我慢しちゃうと、いつかズレが出ちゃうし、うまくいかなかったときに自分じゃなくて周りを責めちゃうと思うんです。そういう生き方はカッコ悪いし、ダサいからしたくない。どんな結果も自分で責任を負う覚悟を持つためにも、自分らしくいることは大事にしています」

ストイックで努力家な一方で、撮影現場を和ませる癒しキャラな一面も併せ持ち、そのギャップも魅力的な土生ちゃん。今年24歳を迎える彼女に「今の自分は、大人?」と聞くと、「大人!」と即答。

「24歳って結構大人だと思う。お酒も飲める年齢ですし(笑)。これまでは何か行動を起こす前は、必ず親に相談していたけど、もう自分の考えで行動しなきゃいけないんだなって感じています。10代の頃は1日ゴロゴロして、のんびり過ごしても気にならなかったけど、歳を重ねるごとに時間を無駄にしたくないっていう気持ちも強くなってきました。今は時間を有効活用して、自分に投資したい。自分の将来に必要なスキルや資格を身につけていきたいです」

表現者としてもひとりの人間としても、成長し続ける土生ちゃん。次回はそんな彼女のアイドルとしての葛藤やこれからの夢を語ってもらいます。

スニーカー¥5,800(コンバース/コンバース インフォメーションセンター)ピアス¥2,500(Mignonjour/room403 表参道本店)リング¥2,500(キャセリーニ)その他/スタイリスト私物

Photography_Hana Yoshino
Hair&Make-up_KATO<TRON>
Stylist_Erika Abe
Text_Yuka Sakamoto
Design_Yoshitatsu Yamaya<Ma-hgra>
Composition_Dai Iwaya

INDEX

SHARE

CLOSE