2011年にガールズダンス&ヴォーカルグループ「Happiness」としてデビューし、その後個人としてもモデル、ファッションブランドのディレクターそして、俳優としても活躍している藤井夏恋。そんな彼女に個人の活動が増えてきた今の心境を問うと、「自分自身の意見や意思を活動に色濃く反映していけるので、より一層の責任感を感じながら頑張れていると思います」と話しながら、グループでの経験が自分自身をより強くしてくれた、とこれまでの活動を振り返ってくれました。

デビュー当初の夢や目標を聞いてみると、「当時はまだ中学生で、目の前のことに一生懸命。その中で個性を出していきたいという思いは持っていたけれど、個人としてどうなっていきたい、という具体的なイメージはありませんでした」と、グループとしての夢が自分の夢でもあったことを明かした。

では、いつから自分のキャリアや将来像を具体的に描けるようになったのか…。それは意外にも最近だったようで、所属するグループの解散をきっかけに、これからの自分が目指すべき姿を資料にまとめ、叶えたい目標などと向き合うようになる。

気になる資料の中身は、今後どういう仕事をしたいのか、自分の方向性や発信したい音楽のジャンルはどんなものか、細かくやりたいことを具体的に書き出した。そしてその書き出した目標や夢を、「今、少しずつコツコツと叶えられていると感じているので、個人としてもヴィジョンを立てておいてよかったです」と2021年は目標を少しずつ実現できたと振り返る。

3歳の頃からすでに芸能界に興味があった夏恋に、25年間で記憶に残っているエピソードを聞くと「紅白に出ることができたこと」と即答。ただ単に紅白に出たかっただけではなく、紅白出場は「親孝行になった」と実感できたことが大きかった。「両親やおばあちゃんたち、みんなが喜んでくれて嬉しかった」ことが今でも一番の思い出。ずっと親孝行をしたいと思っていた夏恋の夢が叶った瞬間でもあった。

そんな彼女に「これまでの人生で挫折はあった?」と聞くと、

「苦労とか、挫折とかあまり感じないんです、性格的に。仮に辛いことがあったとしても、『これって次に繋がるじゃん』みたいに思えたり、（落ち込む前に）どうすれば良いのかってちゃんと考えたりする自分がいてくれる。自分で解決しないと前に進めないと思っているので、『はぁ』って落ち込むことがあっても、自分の行動を辿っていけば絶対に解決できると思う。落ち込んだだけで止まっちゃうと、全部止まっちゃう気がするので、思考停止するにしても一瞬だけにするようにしています」

常に物事の原因を考え続け、わからないことは理解できるように努力を続ける。そんな自分なりの壁の乗り越え方を教えてくれた。

最近は自らが立ち上げたファッションブランド『NEROLI』にも注力。1回目の緊急事態宣言下で様々な活動が難しいとき、彼女は彼女なりにあらためて自分を見つめ直す時間ができたと言う。その時間で見つけたことのひとつが、このブランドの立ち上げ。世の中に停滞感が漂うなかでも新しいことにチャレンジするその行動力の源泉を、夏恋はこう語る。

「20代は学びの時。だからどんどん新しい環境に飛び出して挑戦したいと思っています。これまでと違う環境で活動することで得られる学びはたくさんあるし、その素晴らしさを最近よく感じる。お仕事も何かインスピレーションは必要だと思っているので時間がある時に、例えば洋服とは関係のなさそうな日本庭園を見に行ったり、陶芸をしてみたり、普段触れないことに触れながら、それを自分の表現に変えていきたい」。

今の彼女はさらに成長するため、インプットとアウトプットを幾度となく繰り返す時期。ではこれからどんな藤井夏恋になっていきたいのか。

「自分の表現の幅を広げられるようなことに挑戦したい」と話し、夢や目標を語る。「何かを演じるとしても“藤井夏恋“としてだけではなく、ちゃんとその役で見てもらえるような人でありたい。音楽活動も色々勉強しながらレコーディングしたり、歌詞を書いたり。自分の色をちゃんと出せるような表現をみなさんに発信したい」と、これからの未来が待ち遠しくて堪らない、という表情で話してくれた。

最後に“藤井夏恋“ってどんな人? という質問に、

「目標がありすぎるのも良くないと言われることもあるけれど、いろんな表現に挑戦して自分の表現の幅を広げていきたい。なんでもできちゃう人になりたい」と、これからを強く生きる一人の女性として自分について語ってくれた。これからもきっと、表現者としてさまざまな場所で活躍し、新しい時代を索引していく存在になるに違いない。