
『続・続・最後から二番目の恋』(フジテレビ)公式ホームページより
2025年春ドラマがいよいよスタート! いつものようにドラマオタクのコラムニスト小林久乃と元JJ編集長イマイズミが始まる前に総ざらい。2人が「絶対面白いはず!」と太鼓判を押したドラマをご紹介します。
【コラムニスト小林久乃が選ぶ5本】
・『続・続・最後から二番目の恋』(月曜21時/フジテレビ系)
・『あんぱん』(月~金曜日8時/NHK総合)
・『キャスター』(日曜21時/TBS系)
・『なんで私が神説教』(土曜21時/日本テレビ系)
・『Dr.アシュラ』(水曜22時/フジテレビ系)
【元JJ編集長イマイズミが選ぶ5本】
・『キャスター』
・『しあわせは食べて寝て待て』(火曜22時/NHK総合)
・『対岸の家事~これが、私の生きる道!~』(火曜22時/TBS系)
・『ダメマネ! -ダメなタレント、マネジメントします-』(日曜22時30分/日本テレビ系)
・『魔物』(金曜23時15分/テレビ朝日系)
王道の朝ドラ『あんぱん』で元気をもらえそう!
元JJ編集長イマイズミ(以下、イマ):それぞれ5本ずつピックアップしましたが、小林さんは絶対に『あんぱん』と『続・続・最後から二番目の恋』を入れると思ったんで、あえて外しました。もちろん私も観ますけどね。
コラムニスト小林久乃(以下、小林):では、早速『あんぱん』からいきましょう。このドラマは『アンパンマン』の作者・やなせたかしとその妻・小松暢(のぶ)をモデルにしたオリジナルストーリーで、ヒロインは3000人以上のオーディションを勝ち抜いた今田美桜(朝田のぶ役)。脚本家は『花子とアン』(2014年/NHK総合)以来、2回目の朝ドラ脚本となる中園ミホさんです。
イマ:子供の頃、中園さんはやなせたかし先生と文通をしていたらしいですよ。
小林:不思議な縁ですよね。第1話を観ましたが、オープニングがまさかの令和感全開! 今田美桜のファッションも今どきだったし。
イマ:アンパンマンマーチみたいな、ほんわかしたのを想像してたので驚きました。
小林:それにしてもキャストがすごい! 豪華すぎてどこ見ていいのかわからないくらい。
イマ:若手からベテランまで、イケメン多すぎですよね。北村匠海(柳井嵩役)をはじめ、弟が中沢元紀(柳井千尋役)、嵩の親友は高橋文哉(辛島健太郎役)、育ての親が竹野内豊(柳井寛役)、実の父が二宮和也(柳井清役)って。
小林:子役の子たちも顔が美しかったですね…。
イマ:そんなイケメンたちをさしおいて強烈なインパクトだったのが、阿部サダヲ(屋村草吉役)のジャムおじさん。
小林:ヤムおじさんでしょ(笑)。ジャムおじさんって、ちゃんとモデルがいたのねと思っちゃった。
イマ:最近だと『東京リベンジャーズ』シリーズですが、今田美桜と北村匠海って過去6回も共演してるんですよね。相性は抜群だと思います。
小林:初回は年老いた二人から始まって、初期の8頭身のアンパンマンが動いていました。イマイズミさんちのお子さんもアンパンマン好きでした? 私の甥っ子も夢中だったよ。
イマ:もちろん、うちにもおもちゃがありました。 子育てをしている家庭でアンパンマンを避けて通るのは不可能です。アンパンマンって、もともとは青年向けの絵本の一編だったんですけど、その後、アニメ化されてキャラクターもどんどん増えていって。
小林:私も買わされましたよ、『アンパンマン大図鑑』。300ページ超えのボリュームで2300以上のキャラクターが載ってるやつ。
イマ:たしか、キャラクター数でギネス世界記録に認定されてるはず。
小林:アンパンマンがアニメでヒットしたのって、やなせたかしが70歳近くなってからなんですよね。それまで支え続けた妻がすごい。
イマ:同じ朝ドラ『ゲゲゲの女房』(2010年/NHK総合)も漫画家・水木しげるをひたむきに支える妻・武良布枝がモデルになっていましたね。こういう夫婦の設定はもはや昭和でしかありえないかも。
小林:女性キャストだと江口のりこ(朝田羽多子役)が出ていますが、このクールは他に『ソロ活女子のススメ5』(水曜25時/テレ東系)と『対岸の家事』にも出演しています。昭和の良妻賢母、独身女子、そして働くママと全部タイプが違うお母さん役!
小林:そして河合優実が朝田のぶの妹・朝田蘭子を演じていますが、虎視眈々と朝ドラヒロインを狙ってるように見える(笑)。
イマ:最有力候補ですもんねー。『ばけばけ』(2025年後期・髙石あかり主演)、『風、薫る』(2026年前期・見上愛主演)の次だとすると、2026年後期以降ですかね。
小林:中園ミホさんがドラマ公式HPのインタビューで「王道の朝ドラを書きます」って答えていました。やっぱり朝ドラは、朝から元気をもらえるような作品がいいんですよ。
11年ぶりの大ヒットドラマの続・続編に期待!
小林: 続いて『続・続・最後から二番目の恋』ですが、このクールはこれ一点買いと言ってもいいですね。私の本『ベスト・オブ・平成ドラマ!』(青春出版社)でも書きましたが、このドラマもう何回観たかわからないほど好き。たぶんセリフは全部暗記してます(笑)。
イマ:前回の『続・最後から二番目の恋』(2014年/フジテレビ系)から11年後の世界で、テレビ局プロデューサー・吉野千明(小泉今日子)と鎌倉市役所で働く公務員・長倉和平(中井貴一)の2人が主役の、鎌倉を舞台にしたロマンチック&ホームコメディ。
小林:『続・最後から』の放映当時でも、48歳で連ドラのヒロインって相当珍しかったんですが、今回、千明はなんと59歳ですよ。月9史上最高齢ヒロイン!
イマ:和平は63歳で、定年退職後に指導監という役職で働いています。
小林:最初は千明45歳と和平50歳だったのにね。もうさ、続・続・続・続…って、永遠にやって欲しいなー。
イマ:『北の国から』(1981年/フジテレビ系)みたいに! 主演2人が元気だからできそうですね。
小林:『最後から二番目の恋』(2012年)の時と主要キャストは変わってないって、実はすごいことですよね。誰も不祥事で消えてない(笑)。
イマ:見どころはやっぱりあの2人の会話劇ですかね。『最後から』と『続・最後から』の初回だけ見比べたんですけど、会話のこなれ方が格段に上がってたんですよ。それから11年後だとどうなるのか楽しみで仕方ない。
小林:小泉今日子は『団地のふたり』(2024年/NHK BS)でもリアルな年齢に近い50代の役を演じてましたが、今回は59歳で、ゼネラルプロデューサーに昇進。
イマ:前回は副部長でしたね。管理職研修受けたり、部下たちが現場で楽しそうにやってるのを遠巻きに見ていたりと、中間管理職のリアルを感じました。
小林:千明が59歳ってことは、そろそろ定年退職ってことですよね。
イマ:会社勤めの私としては、これからどうするんだろうってすごく気になります。
小林:和平さんは再雇用でまだ観光課にいますが、千明は独立するんじゃないかな? その方が現場で好きなことできるし。
イマ:過去2作を観返したけど、千明のスタイリングってオシャレですよね。
小林:そうそう、小泉今日子が小柄っていうのもあるんでしょうけど、千明って絶対ヒール履いてるんですよ。今どきのヒロインはスニーカーとかペタンコ靴を履いてるんですけど、千明の勝気な性格とヒールがよく似合ってる。
イマ:石田ひかり(早田律子役)と三浦友和(成瀬千次役)が新キャストですね。
小林:手堅いキャスティング! この2人がそれぞれ和平と千明に絡んでいくんでしょうね。そういう恋模様もこのドラマの醍醐味のひとつ。私、リアタイしたいので月曜夜9時は街から消えますよ。
イマ:トレンディードラマの全盛期か(笑)。
日曜劇場に愛された男・阿部寛がキャスターとなって悪を裁く
イマ:続いて2人がかぶった『キャスター』ですが、テレビ局の報道番組を舞台に、型破りなキャスターが闇に葬られた真実を追求し悪を裁いていく、社会派エンターテインメントという内容です。主要キャストの阿部寛(進藤壮一役)、北大路欣也(羽生剛役)、高橋英樹(国定義雄役)と、顔面の圧が強すぎませんか?(笑)。
小林:ザ・日曜劇場って感じのキャスティングですね。
イマ:大御所クラスに加えて、道枝駿佑(本橋悠介役)、永野芽郁(崎久保華役)の若手コンビ、そして中堅どころは岡部たかし(海馬浩司役)、音尾琢真(山井和之役)、宮澤エマ(市之瀬咲子役)とキャスト全体のバランスが素晴らしいと思います。
小林:阿部寛が主演を務めた日曜劇場を調べたら、『新参者』(2010年)、『下町ロケット』(2015年、2018年)、『ドラゴン桜』(2021年)、『DCU』(2022年)と過去5作で歴代3位。『笑顔の法則』(2003年)、『逃亡者 RUNWAY』(2004年)、『VIVANT』(2023年)と主演じゃない作品にも出演していて、実は迫田孝也以上に日曜劇場に愛された男でした(笑)。
イマ:阿部寛ってもう還暦なんですよね。中学生の時に初めて見た「メンズノンノ」から印象が全然変わらない。
小林:私は俳優デビュー作の映画『はいからさんが通る』(1987年)が印象的ですが、顔があそこまで濃いと年齢不詳になるのかな…。そんな顔の濃さが一番ハマった作品といえば、やっぱり映画『テルマエ・ロマエ』(2012年)。素顔でスタンバイしてたら、監督に「そんなにメイクしなくてもいいですよ」って言われたというエピソードが忘れられない(笑)。
イマ:あの映画、北村一輝、宍戸開、市村正親と日本中の濃い顔俳優が集結してましたね。 阿部寛は、映画『ショウタイムセブン』(2025年)に続いてキャスター役を演じます。あと、どうやって役割分担してるか分からないんですが、今回は脚本家が6人もいます。
小林:チーム制の脚本が上手くいった『3000万』(2024年/NHK総合)の例もありますし、テレビドラマはそういう形がメジャーになっていきそう。
イマ:そういえば、小林さん、『マイ・セカンド・アオハル』(2023年/TBS系)を熱心に観てましたね。キャストの中では道枝くんに注目ですか?
小林:あのドラマは道枝くんというより、アラサー女子が年下男子と恋をするという設定が最高だったんですよ。正直、俳優は誰でもよかったくらい(笑)。私が“俳優ミッチー”を最初に見たのは『母になる』(2017年/日本テレビ系)ですが、衝撃でしたよ。こんな可愛い男の子がこの世にいるのかと。
イマ:日曜劇場には演技お化けみたいな俳優が勢ぞろいしてるので、そこで揉まれたら、俳優としてぐっと成長する可能性がありますね。
令和の世の中で「専業主婦」ってどうなの!?
小林:続いて、イマイズミさんが挙げたのは『対岸の家事』ですね。
イマ:ある出来事から専業主婦になることを選んだ村上詩穂(多部未華子)が、働くママ・長野礼子(江口のりこ)や育休中のエリート官僚・中谷達也(ディーン・フジオカ)と出会い、交流していく姿を描いたドラマ。今は少なくなった「専業主婦」が令和の世の中でどう位置付けされていくのかがテーマだと思います。
小林:昔は夫の給料だけで暮らせていけたから専業主婦も多かったですよね。
イマ:専業主婦の仕事を年収で換算すると約360万円、子どもがいると約600万円という数字も出ています。でも、昔から家事はタダっていう感覚ですよね。
小林:炊事とか洗濯は分かりやすい家事ですけど、最近よく言われているのが「名もなき家事」。郵便を出したり、洗剤の補充をしたり、包丁を砥いだり。
イマ:包丁?
小林:以前、包丁が切れなくなったので、バッグに包丁を入れて砥ぎ屋さんまでバスで行ったんですけど、「いま職質されたら一発アウトだな…」と思ってドキドキしたことがありまして。今は自分で砥ぐようにしています。
イマ:たしかに職質されたら、しどろもどろになりそう(笑)。専業主婦である詩穂が、働くママの礼子と育休パパの中谷と対峙して、お互いの価値観をどう変化させていくのかが見どころになりそう。初回では育児と家事に追い詰められた礼子が、ギリギリのところで詩穂に助けられて、ただのお隣さんから友人になっていきます。
小林:次回で対立しそうな育休中の官僚を演じるディーンさんですが、以前取材で会ったら、とてもいい人なんだけど本当に天然で。『櫻井・有吉THE夜会』(TBS系)で食べ歩きのロケに行ってたんですけど、普通は「美味しいですね」って言って終わりじゃないですか。でも、彼は「僕が好きなのはコレではない」「こうすれば美味しくなるはずだからレシピを変えてくれ」とか言って、バラエティー番組のお約束を完全に無視(笑)。今から番宣に出るディーンさんが楽しみで仕方ない。
イマ:でも『バナナマンのせっかくグルメ』(TBS系)は、日曜劇場チームの阿部寛とミッチーでしょうね。
小林:やっぱりその2人の方が安全かー。
コンプラがちがちの世の中を高校教師が突破する学園ドラマ
イマ:小林さんは『なんで私が神説教』を推していますね。このドラマは、なんとなく教師になった麗美静(広瀬アリス)が、問題児揃いの生徒たちに巻き込まれて、したくもない説教をする羽目になるというストーリー。コンプラ、パワハラ、モンスターペアレントと、今学校が抱える問題に本音でぶつかる静の活躍が見どころですかね。
小林:私、広瀬アリスを見てるとなんか応援したくなるんですよ。やる気ゼロの教師がだんだん成長していくっていう話は彼女にぴったりの役どころだと思います。脚本がバラエティー番組の作家もやっているオークラさんっていうのも、ひとクセありそうなストーリーになりそうで期待しています。
イマ:このドラマの生徒たちは『御上先生』(2025年/TBS系)と違って、初めて見るような若手俳優が多くキャスティングされています。
小林:このドラマでブレイクする子もいるかもしれないので、青田買い的な楽しみ方もできますね。そして、注目は野呂佳代伝説(野呂佳代が出るドラマは必ずヒットする)はまだ続くのか?
イマ:彼女は学年主任の世界史教師・大口美幸役で出演しますね。他の教師役も伊藤淳史(森口櫂役)や小手伸也(新庄保役)とコメディーが上手な俳優が多いので、職員室のわちゃわちゃが面白くなりそう。
心も体も疲れた大人たちに沁みるドラマ
イマ:『しあわせは食べて寝て待て』を挙げましたが、これは膠原病を患った主人公が、引っ越した先の団地で「薬膳」と出会い、心身の健康を取り戻していくというストーリー。年を取ればとるほど、毎日の食事って大切なんだなーと痛感しています。いま我が家は「野菜スープ健康法」を取り入れてるんですが、最近そのおかげで体調がいい気がする!
小林:私もそんなにお酒飲まなくなったし、毎日1時間以上歩くようにしてます。
イマ:こんな話をするようになるとは、若い頃は1ミリも思いませんでしたね(笑)。
小林:NHKは『団地のふたり』に続いて、また団地が舞台のドラマですね。
イマ:ご近所との交流、丁寧な暮らし、老後の生き方がテーマになると、舞台装置として団地は重宝されるんでしょうね。そして、加賀まりこが演じる大家さん・美山鈴が原作漫画だとめちゃめちゃ素敵なキャラクターなんですが、初回を観たら、イメージ通りの優しいおばあちゃんでした。
小林:人生に疲れている人、体が弱っている人たちに響きそうなドラマですよね。私も最近体調を崩して仕事や生活を見直すタイミングだったので、とても沁みました。
今度は「カッコいい松本若菜」が見られる!
イマ:小林さんは『Dr.アシュラ』を挙げていましたが、『西園寺さんは家事をしない』(2024年/TBS系)、『わたしの宝物』(2024年/フジテレビ)に続いて主演を務めるのが松本若菜。どんな急患も断らない、そしてどんな手を使ってでも絶対に助けるスーパー救命医・杏野朱羅を演じます。
小林:仕事一筋で私生活は一切顧みない医者なんですよね。前のクールで好きだった『まどか26歳、研修医やってます!』(2025年/TBS系)は派手な手術シーンとか全然なかったけど、このドラマは真逆。
イマ:原作漫画を読みましたが、ずーっと手術していました(笑)。このドラマの脚本家は、ヤングシナリオ大賞を受賞して『真夏のシンデレラ』(2023年/フジテレビ)を手掛けた市東さやかさん。市東さんって元看護師なんですよね。
小林:『silent』(2022年/フジテレビ系)の脚本を書いた生方美久さんも元看護師だから、なんか書きたくなるんですかね、医療現場にいると。
イマ:経験がある人が書くとストーリーにぐっとリアリティーが加わりますよね。
小林:『わたしの宝物』では暗い顔で思い悩むシーンが多かったですが、今回は鬼のような顔で手術をしまくる松本若菜が見られそう。
芸能事務所のマネージャーが主役のドラマ対決!
小林:イマイズミさん、『ダメマネ!-ダメなタレント、マネジメントします-』を挙げてますけど。
イマ:元・天才子役の神田川美和(川栄李奈)が冷徹ドS部長の無茶ぶりに翻弄されながら、崖っぷちタレントたちのために芸能界を駆け回るという内容。芸能事務所のマネージャーって、知ってるようで実は知らない世界なので、お仕事ドラマとしてとても興味が湧きます。
小林:私たちがさんざん「スケジュールください!」って電話していた人たちですよね(笑)。
イマ: タレントにとってマネージャーってかなり重要で、マネージャーがポンコツだともう電話するのも嫌になってくるじゃないですか…。
小林:どんなマネージャーがつくかって運みたいなところもありますよね。
イマ:私が一番ガッカリするのは、タレントが売れていくとマネージャーまで売れっ子的な態度を取るパターン。前は「なんとかお願いしますよー」って言ってたくせに、「〇ページ以下だと出ませんから」「その並びではやりません」とか。
小林:怒ってますねー(笑)。
イマ:そういう「マネージャーあるある」ならいくらでもネタ出しできますよ! 脚本家にお笑いコンビ・かもめんたるの岩崎う大が入ってるので、シニカルでブラックな展開も期待できそう。
小林:美和の上司役は安田顕(犀川真一郎役)ですが、『べらぼう~蔦重栄華乃夢』(2025年/NHK総合)や『日本一の最低男 ※私の家族はニセモノだった』(2025年/フジテレビ系)も出ていて、どんだけワーカホリックなのかと。
イマ:TEAM NACSの中でも出演本数でいうと大泉洋を抜いて一番かもですね。
小林:調べたら2007年から2025年まで毎年欠かさずドラマに出てるんですよ。それに加えて映画や舞台もあるし、演じる役の幅もめちゃくちゃ広い。
イマ:『今日のさんぽんた』(2025年/FOD・フジテレビ系)では犬の声やってましたよ。
小林: 振り返れば安田顕がいる(笑)。
イマ:そして、同じクールでマネージャーが主役のドラマが他にもあって、それが松下由樹主演の『ディアマイベイビー~私があなたを支配するまで~』。自分が育てた女優に裏切られて、絶望のどん底にいたベテランマネージャーが街で偶然見つけた青年を芸能界へといざなうというストーリーなんですが、いきなり松下由樹(吉川恵子役)が刺される回からスタート。
小林:深夜のドロドロ系ドラマですが、これは見ますよ。松下由樹といえば『想い出にかわるまで』(1990年/TBS系)でお姉さんの彼氏を略奪する役をはじめ、ドロドロ歴のキャリアが違う。そして、恵子に見出された新人俳優・森山拓人役を演じる野村康太くんもいいですよね。
イマ:彼、なんか二世俳優っぽくないんですが、何でですかね?
小林:馬鹿っぽくないからじゃない?
イマ:誰のこと言ってるんですか(笑)。方向性が全然違うこの2つのドラマを見比べるのも楽しそう。
韓ドラファンが注目する日韓共同制作ドラマ
イマ:『魔物』は韓国ドラマ好きとしては注目の作品です。孤高の弁護士・華陣あやめ(麻生久美子)は、ある日、魅惑的な男・源凍也(塩野瑛久)と出会い、禁断の愛に身を焦がしていくというラブサスペンス。
小林:韓国ドラマのリメイクじゃなくてオリジナルストーリーなんですね。
イマ:このドラマは制作スタイルがちょっと変わっていて。SLLという韓国のスタジオのクリエイターが考えた原案を日本の脚本家がシナリオにして、監督やプロデューサーは双方から参加するという日韓共同制作です。そして、このSLLは『梨泰院クラス』(2020年)、『財閥家の末息子』(2022年)など数々の大ヒットドラマを制作した実績がある超有名スタジオ。そして、韓国から参加する監督は『青い海の伝説』(2016年)や『オク氏夫人伝 -偽りの身分 真実の人生-』(2024年)でメガホンをとったチン・ヒョク氏なんですよ!
小林:えっと、全然ピンとこない…。
イマ:くー、もどかしい! 韓ドラファンなら全員知ってるんだけどなー。今回はただのリメイクじゃないので、どんな化学反応が起きるのか、すっごい楽しみ!
小林:今クールも『夫よ、死んでくれないか』(月曜23時06分/テレ東系)とか『子宮恋愛』(木曜24時59分/読売テレビ)とか、タイトルでざわついているドロドロ系ドラマが多い。この手のドラマの原型って大映ドラマだと思うんですよね。『ヤヌスの鏡』(1985年/フジテレビ系)とか『ポニーテールは振り向かない』(1985年/TBS系)とか。
イマ:韓国ドラマは黎明期に大映ドラマをお手本にしたと言われていますが、『イカゲーム』(2021年/Netflix)のような世界中でヒットするコンテンツに育ったという意味では、はるか先に行ってしまいました。
小林:この春は、大ヒット作の続・続編、本格派ドラマの日曜劇場、日韓共同制作とバラエティーに富んだラインナップですね。
イマ:しばらく寝不足が続きそうですが、体を労わりながらチェックしていきましょう!

小林久乃(こばやし・ひさの)コラムニスト、編集者。正々堂々の独身。中学生から地上波ドラマを愛して30年以上、筋金入りのオタク。好きが高じてついには『ベスト・オブ・平成ドラマ!』(青春出版社刊)を上梓した。ラブストーリーが好きで、特に禁断の恋がテーマとなると視聴熱が俄然、盛り上がる。公式HPはhttps://hisano-kobayashi.themedia.jp
元JJ編集長イマイズミ 女性誌『CLASSY.』『JJ』の編集長を歴任。1クールの地上波ドラマを全録画するようになったのは、編集長になった13年ほど前から。「仕事で新しい俳優、タレントさんを覚えるため」というのが理由だったけど、見事に大ハマり。ホームドラマとラブコメ好き。韓国ドラマもやや中毒。

イラスト/lala nitta