“あなたの愛で本当の自分になれた”
この物語はトランスジェンダーという言葉や概念がまだ確立していなかったであろう、今から80年以上も前に世界で初めて性別適合手術を受けたデンマーク人、リリー・エルベの実話。
アイナーは風景画で才能を高く評価されている気鋭の画家。妻のゲルダも肖像画を専門にする画家として活動していた。結婚6年目の夫妻は新婚カップルのように仲が良かった。
そんなふたりの運命が激変するきっかけとなる出来事。
ゲルダが仕上げていた肖像画のモデルがアトリエに来られなくなり、代わりに足元のモデルを頼まれアイナーは、しぶしぶストッキングとサテンの靴を履き、白いチュチュを腰に当ててポーズを取った。
最初に感じたのは気恥ずかしさ。
しかし、優雅に足にまとわりつくチュチュの感触に身を委ねているうち、胸に今まで感じたことのない恍惚感がこみあげてきた。その瞬間から、アイナーは自分の内側に潜んでいた女性の存在を意識するようになる。
それがどういうことなのかを理解できないままに。
最愛の夫が女性として生きたいと願うようになった時、妻はすべてを受け入れ、愛する人の夢をかなえるために奔走する。
命の危険を冒してでも自分らしく生きることを望んだ主人公と、どう変わろうとも寄り添い支え続けた妻ゲルダ。誰にも理解されなくとも、お互いの味方であり続け、性別さえも無関係になるほどの強靭な愛が描かれる。
人を愛するとはどういうことなのかを斬新な角度から描き上げた 鮮烈な愛の名作です。
“きみを愛してる
本当の自分に気づかせてくれた”
瞳の奥の可憐さまで表現するのかと、いっきに惹き込まれた
(C)2015 Universal Studios. All Rights Reserved.
深い部分で変容していくふたりの関係。
リリーが勇気ある決断を重ねる過程を、リリーとゲルダ両方の視点で感じる。
愛について、自分自身について永遠のテーマであることが深く刻まれる映画でした。
見逃してほしくない、とっておきの映画です。
『リリーのすべて』
2016年3月18日(金)
監督:トム・フーパー 脚本:ルシンダ・コクソン
出演:エディ・レッドメイン、アリシア・ヴィキャンデル、ベン・ウィショー、アンバー・ハード、マティアス・スーナールツ 他
原題:The Danish Girl 提供:ユニバーサル映画/製作:ワーキング・タイトル、プリティ・ピクチャーズ
配給:東宝東和
R15+