社会人において電話応対はとても大切。
どのような言葉を使うのかによって自分の印象だけでなく、会社の印象にも大きな影響を与えます。
今回は、つい使ってしまう電話応対のNGワードをご紹介。
クライアントとの電話応対を思い出しながら確認していきましょう。
(1)「お名前を頂戴できますか」「お名前をいただけますか」
「いただく(頂戴する)」は“もらう”の謙譲語です。
誰かからプレゼントを「もらう」というように、あげたりもらったりすることができる場合に使う言葉です。
例文の場合の“名前”は物ではありませんので、誰かにあげることも、もらうこともできません。
そのため、「お名前をいただく/頂戴する」という表現はNG。
“あなたのお名前を聞かせてほしい”という気持ちを正しい敬語で表現すると「恐れ入りますが、お名前を伺えますか」が適切な表現となります。
(2)「今お時間よろしかったでしょうか」
電話をかけるときに相手の都合を尋ねる配慮はとても大切なことです。
ですが、今現在の相手の状況を確認しているにもかかわらず、「よろしかったですか」という過去形の表現は日本語として間違った言葉遣いです。
ここでは、「ただいまお時間よろしいでしょうか」が正解。
ついつい間違えがちな言い回しなので、日頃から気を付けましょう。
(3)「あいにくお休みをいただいております」
そもそも“いただく”は、与えてくれた先に対して使う敬語です。
休みは会社からもらうもの。
クライアントが休みを許可して与えてくれているわけではありません。
例文は、クライアントの前で自分の会社に対して敬語を使っていることになり、立場の優先順位が変わってしまうためNG。
「申し訳ございません。○○は休みをとっております」が正解です。
(4)「〇〇が戻りましたら、その旨お伝えいたします」
担当者の不在により、代わりに伝言を受けることも多いかと思います。
「お伝えする」は伝える相手(この場合は社内の人)を高める表現の敬語です。
クライアントとのやり取りのなかで、身内である社内の人を高めていることになるためNG。
クライアントからの伝言を受ける際は、「わたくし△△と申します。必ず○○に申し伝えます」と、「申し伝える」を使うのが正解です。
もし、外出している職場の先輩から電話がかかってきて部長への伝言をお願いされた場合は、部長を高める表現がふさわしいため「かしこまりました。部長にその旨お伝えします」という言葉が正解となります。
誰からの電話で、誰にメッセージを伝えるのか、自分の立ち位置によっても言葉が変わるので難しく感じますが、誰を立てるべきなのかをよく考えると理解しやすいですね。
(5)「お電話の声が遠いのですが」
このように言ってしまうと「あなたの声が小さくて聞こえない」というような言い回しに。
聞こえにくい原因は“あなたの声”ではなく、電話機器の不調というニュアンスで伝えるのがベターです。
「申し訳ございません。お電話が少々遠いようなのですが……」が正解。
失礼な印象を与えずに、やんわりと声が聞こえづらい状況を伝えましょう。
正しい言葉遣いは、「この方(会社)なら仕事を任せても大丈夫」という信頼感を与えます。
NGワードが口癖になっている方は、デスク周りに正しい言葉遣いを書いた紙を貼って口に出すように心掛けるといいかも。
何度も言葉に出すことで、自然と身についていきますよ。
文/西谷依里子 画像/PIXTA(ピクスタ)(xiangtao、shimi、polkadot、EKAKI)