挨拶の語彙力は、あなたの印象を左右します。
重要な初対面の第一声で幻滅されてしまったら残念ですよね。
そこで今回は、好感度アップ間違いなしのフレーズや、年末年始に定番の挨拶まで、覚えておきたい言い回しを5つご紹介します。
(1)初対面の挨拶「お目にかかれて光栄です」
初対面なら「初めまして」が定番ですが、そこにもう一言付け足すと、よりすてきな印象に。
相手に会えたことを喜ぶフレーズとして「お目にかかれて光栄です」をおすすめします。
「会う」の謙譲語「お目にかかる」をもちいて、相手への敬意を表現しましょう。
「お会いできてうれしいです」も同じような趣旨ではありますが、「嬉しいです」よりも「光栄です」「光栄に存じます」のほうが大人な表現になりますよ。
(2)初対面の挨拶「お見知り置きください」
自己紹介をしたり、名刺を渡したりした後のもう一言にぴったりなのが、「お見知り置きください」です。
これは、自分の顔や名前などを記憶しておいてほしいとお願いする、へりくだった表現。お笑い芸人がよく漫才の冒頭で言う「名前と顔だけでも覚えて帰ってください」のようなものですね。
文頭に「以後」や「どうぞ」を付け加えて「以後お見知り置きください」「どうぞお見知り置きください」などのように使うこともあります。
こうした一言があると、“他の人とはひと味違うな”と、より信頼できる人だと感じてもらえるでしょう。
(3)相手に来てもらったお礼「お呼び立てして恐れ入ります」
打ち合わせや手続きなどで、相手に足を運んでもらった際には、少々申し訳ない気持ちがあるものです。
そんなときに役立つのが、「お呼び立てして恐れ入ります」というフレーズ。
まずは相手の苦労に寄り添い、ねぎらうことが重要です。こうした一言があってこそ、相手もわざわざ来たかいがあるというもの。
ほかにも、思いやりのフレーズとして「ご足労をおかけしました」などもありますので、あわせて覚えておくとよいでしょう。
(4)年末年始など、大事な節目での挨拶「今後とも何卒よろしくお願いいたします」
顔を合わせるのが年内最後になりそうな取引先や顧客の方々には、「来年もよろしく」という気持ちを伝えて別れたいものです。
そんなときには、お辞儀とともに「今後とも何卒よろしくお願いいたします」と丁重に挨拶をするようにしましょう。
仕事納めの日に、上司や先輩に対しても使えるフレーズです。普段カジュアルな言葉遣いで話している相手でも、節目の場面であらたまった挨拶をすることで、きちんとした人だと思ってもらえるでしょう。
あわせてもちいたい挨拶が「よいお年を」で、これは正式な言い方「よいお年をお迎えください」を簡略化したもの。相手が年内に済ませたほうがいい用を無事に終え、健やかに幸せな新年を迎えられるよう祈るフレーズですので、ぜひ使ってみてくださいね。
(5)社外の人へ年始のご挨拶「旧年中は格別のお引立てを賜り厚く御礼申し上げます」
年明けに仕事始めのご挨拶をメールで送ることもありますよね。
そこでは、あらたまった言葉を使いたいものです。
ご挨拶メールを送らない場合でも、その年の最初のやり取りには、いつもの「お世話になっております」の後に、「旧年中は格別のお引立てを賜り厚く御礼申し上げます」という一言を付け加えましょう。
「引き立て」は、目をかけて贔屓(ひいき)にするという意味。「お引き立て」と言うと、「ご贔屓」「ご愛顧」と類義語ですが、大和言葉であるぶん、奥ゆかしく上品な印象を与えることができますよ。
「賜る」は「もらう」の謙譲語で、「いただく」「頂戴する」と同義語です。
「旧年中」の部分は「昨年」と書いても構いませんが、年賀状などでも定番の「旧年中」という言い回しを使えると、より一層あらたまった印象に。
いかがでしたか?
これから年末年始を迎える際、お世話になっている方々にしっかりご挨拶できると、相手からも一目置かれることでしょう。
今回ご紹介したフレーズを使って、気持ちよく年末年始を過ごしてくださいね。
文/吉田裕子
国語講師。塾やカルチャースクールなどで講師を務める他、『テストの花道 ニューベンゼミ』(NHK Eテレ)に国語の専門家として出演するなど、メディアでも活躍中。東京大学教養学部卒。
画像/PIXTA(ピクスタ)(Taka、saki、mits、ふじよ、 metamorworks) 参考文献/吉田裕子『大人の語彙力が使える順できちんと身につく本』(かんき出版)