手軽に持ち運べる文庫本は、長いフライトや移動中はもちろん、GWの読書にもぴったり。ガイド本とは違った角度から、その土地や人々について深く知ることができます。旅好きなチームJJに、思い出を色濃くしてくれる名作をリサーチ。
ヨーロッパと本の相性って最高♥
JJ編集部には、パリを筆頭にヨーロッパ旅行愛好家が多数生息。さらっと素通りしてしまいがちな名所だって、本を読んでから訪れれば、見える景色はまるで違うはず。何よりヨーロッパをテーマにした本には心躍るドラマがたくさんあります。
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1.『じゃじゃ馬ならし・空騒ぎ』シェイクスピア著/福田恒存訳(新潮文庫・¥590)
ミラノを旅したとき、スカラ座でバレエ「じゃじゃ馬ならし」を観る予定を立ててこの原作を予習。バレエを愛しているので、ヨーロッパ旅行では観劇が必須。古典劇は物語の大筋を復習しておき、当日は舞台の美しさに純粋に集中!(ライター味澤彩子)
2.『怖い絵』中野京子著(角川文庫・¥680)
ヨーロッパ旅行と美術館は、切っても切り離せない関係。名画に潜む物語がつづられたこの本のおかげで絵画鑑賞にメリハリが。読み終わったあとに実際その絵画を観ると心底ゾッとします。シリーズ化されているので全作品制覇したい。(ライター矢﨑 彩)
3.『新装版 ココ・シャネルという生き方』山口路子著(角川文庫・¥680)
初めてパリへ行ったとき、「絶対に憧れのシャネル本店へ行く」と決意。ブランドの知識を深めるために読破したあと、ファーストシャネルを連れて帰りました。旅先でのお買い物は、旅の思い出と相まって、特別な愛着が生まれます。(ライター坂本結香)
4.『もし僕らのことばがウィスキーであったなら』村上春樹著(新潮文庫・¥520)
村上春樹がウィスキーの故郷スコットランドのアイラ島とアイルランドの蒸留所を巡る紀行エッセイ。ウィスキーの描写が繊細にして愛情に溢れています。現地のパブを訪れて飲みたくなるほど。親友は学生時代この本を読み、実際に旅していました。(編集・T)
5.『アンネの日記』アンネ・フランク著/深町眞理子訳(文春文庫・¥960)
学生時代に読んで、世界史に興味がわき、さらにチャップリンの映画を観るなど、知識欲を高めてくれた思い出深い一冊。オランダへ行く際は、やはりこの一冊を選びたい。その土地の背景を知ることが旅をより濃密にしてくれるはず。(編集・S)
6.『ダ・ヴィンチ・コード(上)』ダン・ブラウン著/越前敏弥訳(KADOKAWA・¥600)
世界的にも大ヒットした、ダ・ヴィンチの謎を紐解くミステリー。ダン・ブラウンの作品は、娯楽として一気に読めてしまうので、フライトでの暇つぶしに最適。さらに宗教画についての知識も深めてくれるので、ヨーロッパ旅行の必須アイテム。(編集・H)
7.『ベルサイユのばら 1』池田理代子著(集英社文庫・¥3,095 全5巻セット)
ヴェルサイユ宮殿を丸一日かけて観光するならと勧められて。フェルゼン伯爵と逢引きするプティ・トリアノンでは、テンションが爆上がり(笑)。架空の物語ですが、マリー・アントワネットの人生を気軽に垣間見ることができる名作。(ライター清水亮子)Ⓒ池田理代子プロダクション/集英社
8.『パリ行ったことないの』山内マリコ著(集英社文庫・¥460)
JJ巻頭エッセイを手がけている大好きな山内さんの短編小説集♥ 基本的には“パリに行くまで”の物語なので、ぜひともパリに行く前に読んでほしい! 10人の女性が主人公なのですが、JJ世代が共感するシーンが満載。心に寄り添ってくれます。(編集・O)
プールサイドで思いを馳せる
リゾートのお供にぴったりなのは、そこで生きる人びとのライフスタイルや大自然の魅力が伝わる本。本当はプールサイドでビール片手に読むのが最高だけど、忙しい毎日の合間に読んで、遠い南国に恋焦がれてみるのもいい。
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9.『ハワイイ紀行 完全版』池澤夏樹著(新潮文庫・¥990)
ハワイの文化や歴史、暮らしが分かります。旅行記を読むと、咲いている花ひとつとっても、突然のスコールにしても、「書いてあったな」と景色がよりクリアに心に響くようになり、旅先で知識が体験に変わっていく感じが快感に。(ライター増田奈津子)
10.『シドニー! ①コアラ純情篇』村上春樹著(文春文庫・¥510)
シドニーオリンピックの取材エッセイ。今回のシドニー出張のお供にしたのですが、この本が書かれた約20年前との違いを知ることができました。不動産価格はなんと4倍だとか…。旅先にはその土地に住む人や時代背景が分かる本を持っていきます。(編集・K)
11.『まぼろしハワイ』よしもとばなな著(幻冬舎文庫・¥495)
ハワイが舞台の中編小説集。ユニークな登場人物たちがハワイの空気の中で自分を取り戻していく物語。ハワイのリアルな空気感が詰め込まれているので、旅行中は思う存分ひたって、ハワイを味わい返したくなったときに読むのも最高。(編集・S)
バックパッカーに憧れて
冒険のない人生なんて!普段はなかなか行きづらい旅先こそ、バックパッカー本の出番。ディープな土地での珍道中は、刺激に満ちていて痛快。20代ですもの。リゾートもいいけど、時にはアグレッシブな旅行もしてみては。
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12.『深夜特急1─香港・マカオ─』沢木耕太郎著(新潮文庫・¥490)
バックパッカーのバイブル的名作。学生時代に感銘を受けて、実際にマレー鉄道を旅しました。先日、大草直子さんの取材でもこの本の話になり、再読。何歳になっても“ここではないどこか”へ行きたい気分を呼び起こしてくれます。(編集・H)
13.『いつも旅のなか』角田光代著(角川文庫・¥560)
著者がバックパッカーで訪れた旅が臨場感たっぷりに描かれた紀行エッセイ。ラオスやスリランカなど、ディープなエリアの得難い体験エピソードが満載。この本を読むとお仕着せのツアーでは得られない自分らしい旅をしてみたくなります。(編集・M)
14.『鳥頭紀行 ジャングル編』西原理恵子、勝谷誠彦著(角川文庫・¥590)
個人的には“深夜特急”に並ぶバックパッカーのバイブル。計画性ゼロの旅だからこそ味わえる豊かさがひとコマごとに膨大な文字量で詰め込まれていて、何度読み返しても新しい発見が。人生に旅は必要だな、と実感させてくれます。(ライター亀井友里子)
15.『ガンジス河でバタフライ』たかのてるこ著(幻冬舎文庫・¥648)
高校時代に読んで「大学生になったら一人旅をする」と決意させてくれた一冊。世界は知らないことで溢れていると教えてくれました。お腹が弱すぎるためインドに行く夢は未だ叶わずですが(笑)。社会人になり毎年一人旅をするきっかけに。(編集・I)
(掲載の情報はJJ6月号のものです)
Photography_Takehiro Uochi 〈TENT〉 Text_Yuriko Kamei