仕事がデキる! そんな印象を与えるのは、要点を簡潔にまとめた端的な話し方ができる人。
「結局何が言いたいのか分からない」「もうちょっと論理的に話して」
そう叱られた経験のある人にこそマスターしてもらいたい、ロジカルでスマートな話し方の基本を学びましょう。
(1)ロジカルの基本
「ロジカル(論理的)」とは、読み手が納得できるように、話の筋道が組み立てられている状態です。
ここで大事なのは話の流れ、構成です。ですから、思い付いた順にとりとめもなく話すのではなく、全体像を先に見通してから話しはじめたほうがよいでしょう。
最初に言うべきは結論です。
「Time is money.」とよく言われますが、とくに、上司や取引先と話している場合、「相手の時間は貴重なものである」ということを強く意識する必要があります。もったいぶらずに最初に結論を伝えましょう。
前置きをダラダラ話していると、途中で話を打ち切られてしまうかもしれませんよ。
(2)ロジカル3点セット
論理的に話したい、書きたいのであれば、次の3点セットを習慣にしましょう。
(1)結論
(2)根拠・理由
(3)具体例
です。例文で見てみましょう。
(1)この商品の売上を伸ばすには、新聞広告を入れるべきです。
(2)この商品はシニア向けで、この世代は新聞を購読している割合が高いからです。
(3)実際、これまで類似商品で新聞広告を出した日には、それ以外の日の13倍の売上を記録しています。
結論を最初にズバリ伝えたら、次にその根拠を続けます。主張をぶつけるだけでは感情的に見えますが、根拠が伴えば、説得力が生まれます。
さらに、「たとえば」「実際に」などと具体例やデータを添えれば、ますます説得力が出てきます。
具体的な固有名詞や体験談、数字が出てくると、実感も湧きやすく、聞いている側も心が動かされやすくなります。
なお、根拠や具体例のパートが長くなった場合は、(3)の後にもう一度、結論を繰り返してダメ押ししましょう。
普段から、「こっちの靴にしようかな(結論)。色がきれいで、いろいろな服に映えそう(根拠・理由)。たとえば……あのスカートと合うな(具体例)」と、3点セットを意識していると、身につきますよ。
(3)ロジカル、でも、怖くならないようにするには……
ロジカルな話し方は説得力がある分、“怖い”とか“押し付けがましい”とか、ネガティブな印象も生み出しがちです。
そうならないためのコツは、もう1クッション、「たしかに」と共感するパートを挟むことです。
たとえば、次のような4STEPの流れを踏むと、バランスの取れた印象になります。
(1)ビジネス上のやり取りには、電話よりメールのほうが適しています。
(2)なぜなら、メールでのやり取りは、はっきりと記録が残るからです。
(3)たしかに、電話の場合、声のトーンなどで感情が伝わります。
(4)しかし、ビジネスで大切なのは感情豊かに伝えることより正確に情報を共有することなので、メールのほうが便利だと言えます。
電話派の人の意見も受け止めており(3)、少し柔らかい印象に。しかも、その反対意見に対し、理由を添えて反論して締めくくる(4)ことで、主張がいっそうの説得力をもって伝わってくるようになります。
ここでは途中に「たしかに」を挟みましたが、会話の場合、最初に「たしかに、電話ってメリットもいろいろあるんですよね」と共感してから、“結論→根拠→具体例”の流れに入るのも、自然でよい流れです。
(1)結論ファースト、(2)結論→根拠→具体例の3点セット、(3)「たしかに」を挟んで柔らかく
この3つの“ロジカルに話すポイント”を意識して、スマートで知的な印象を与える女性を目指しましょう!
文/吉田裕子 国語講師。塾やカルチャースクールなどで講師を務める他、『テストの花道 ニューベンゼミ』(NHK Eテレ)に国語の専門家として出演するなど、メディアでも活躍中。東京大学教養学部卒。
画像/PIXTA(ピクスタ)(Pangaea、masaya、shimi) 参考書籍/吉田裕子『仕事がはかどる!頭の中の整理術』(エイ出版社)
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