「丁寧な言葉遣いをしていれば安心」と思ってしまいがちな敬語ですが、実は使い方を間違えていることも……。
今回はビジネスシーンで、つい間違えてしまいそうな言葉遣いをご紹介します。
恥ずかしい思いをしないためにも、それぞれの意味と使うべき状況をしっかりと確認しましょう。
(1)「力不足」と「役不足」
「私には役不足です」は、「私にはその役は不相応で軽い」という意味になり、“自分にはもっと力がある!“と言っているようなものです。
対して「力不足」は、「その役を務めるには自分の力が不足している」ことを意味し、“自分にはその役が大きすぎる”ことを示します。
反対の意味をもってしまうので、使う際には気を付けましょう。
(2)「ご挨拶いただきます」と「ご挨拶申し上げます」
社内のみの集まりや会などでは「社長よりご挨拶をいただきます」ですが、社外の人もいる場合は「社長よりご挨拶を申し上げます」となります。
誰が参加するのか、状況によって敬語が変化します。
司会をする際は、社外の方がいらっしゃるかどうかの確認が必要になりますね。
(3)「御社」と「貴社」
どちらも相手の会社に対して尊敬の気持ちを表した言葉ですが、状況によって使い分けが必要です。
「御社」は、主に話し言葉として日常のやりとり(電話や打ち合わせなど)で使います。
「貴社」は記者、汽車、帰社などの同音異義語が多く、口頭では伝わりにくいため、書き言葉のみに使い、正式的なものや重要度の高いビジネス文書(契約書や案内状など)に使います。
(4)「ご苦労様です」と「お疲れ様です」
「ご苦労様です」は、目上の方が目下にかけるねぎらいの言葉ですので、上司に使うのはNG。
「お疲れ様です」は、上下関係に関係なく使えるねぎらいの言葉です。
(5)「存じております」と「存じ上げております」
どちらも「知っている」の謙譲語ですが、何について知っているのかによって変わります。
対象とするのが人物である場合は「存じ上げております」、知っている対象が物の場合は「存じております」になります。
たとえば、「A社が渋谷に移転するそうですがご存じですか」という問いに対しては「はい。存じております」と答えるのが正解です。
似たような言葉でも間違えてしまうと意味合いが変わってしまったり、失礼な印象や知識がないように思われてしまいます。
意味をしっかりと理解し、間違えないように注意しましょう。
文/西谷依里子 画像/PIXTA(ピクスタ)(よっし、zon、Fast&Slow、Claudia、kikuo) 参考文献/文化審議会答申『敬語の指針』
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