【国立映画アーカイブ】展覧会「ポスターでみる映画史 Part 4 恐怖映画の世界」開催のお知らせ

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めくるめく恐怖の世界へようこそ……『カリガリ博士』からJホラーまで


 誕生から120年以上のあいだ、映画は見る人にさまざまな感情を呼び起こしてきました。中でも、「恐怖」は人々を抗いがたく引きつけてきました。スクリーンに現れる異形の怪物、人間の心の闇を暴くサイコホラー、あるいは鮮烈な映像表現で綴られる超常現象と、映画は幅広い形で観客に恐怖を提供してきたのです。日本においても、無声映画の時代から怪談文化と結びついた時代劇映画が数多く作られてきただけでなく、1990年代以降は「Jホラー」と呼ばれる作品群が生み出されるなど、恐怖映画は今なお大きな存在感を放ち続けています。

 シリーズ「ポスターでみる映画史」の第4回となる「恐怖映画の世界」は、国立映画アーカイブのコレクションを中心に、映画草創期から連綿と作り続けられてきた恐怖映画のポスターを取り上げる展覧会です。『カリガリ博士』といった古典から、ダリオ・アルジェントらのイタリアン・ホラー、『ジョーズ』などのパニック映画、そして日本の怪談映画やJホラーの最新作まで、観客を怖がらせ楽しませてきた諸作品の系譜をたどります。工夫の凝らされたポスターヴィジュアルや惹句をお楽しみいただき、身も凍る恐怖の世界にどっぷりとお浸かりください。

見どころ

★ 展覧会シリーズ「ポスターでみる映画史」。今回は第1回「西部劇の世界」、第2回「ミュージカル映画の世界」、第3回「SF・怪獣映画の世界」に続く第4回目です。

★ 映画誕生間もないころから現在に至るまで連綿と作り続けられてきた恐怖映画の系譜を、国立映画アーカイブの所蔵ポスターを中心とした約120点の資料によって網羅的に横断します。

★古今東西の恐怖映画の音楽をお聴きいただけるコーナーも設け、聴覚面でも恐怖映画を追体験いただけます。

展覧会の内容

《第1章》1910s-1950s 恐怖映画の古典―怪人・怪物
スクリーンに現れた恐怖の始まりは、怪人や怪物たちの姿でした。普通の人間からかけ離れた登場人物の容姿や言動を示す映画が、観客に衝撃を与えたのです。サイレント映画の時代から始まった怪人・怪物たちの映画は、1920年代後半のトーキーへの移行、1930年代前半のカラー映画の本格的導入、1950年代前半の3Dの勃興といった映画技術の発達に歩みを合わせるように作られました。
[主な展示ポスター]
『カリガリ博士』(1919年、日本公開1921年、ロベルト・ヴィーネ監督)/『オペラの怪人』(1925年、日本公開同年、ルパート・ジュリアン監督)

《第2章》1950s-1960s 狂気と幻想を求めて―サイコホラー、ゴシックホラー
映画芸術が花開くにつれて、映画が描く恐怖は、見た目や行動による外面的なものから、人間の心の奥底に潜む闇や狂気を描く内面的なものへと移行していきました。また、1950年代後半から1970年代にかけては、イギリスのハマー・フィルム・プロダクションを中心として、ドラキュラやフランケンシュタインといった怪人・怪物映画のリメイクに基づくゴシックホラーも隆盛を極めました。
[主な展示ポスター]
『フランケンシュタインの逆襲』(1957年、日本公開同年、テレンス・フィッシャー監督)/『サイコ』(1960年、日本公開同年、アルフレッド・ヒッチコック監督)

《第3章》1950s-1980s 未知なるものの襲来―パニック、そしてゾンビ
目に見えないもの、あるいは得体の知れない存在の襲来も、やはり人々を恐怖させるものです。1950年代に多数製作されたSFパニック映画や、『鳥』や『ジョーズ』といった動物パニック映画などが例として挙げられますが、その最たるものが、ジョージ・A・ロメロが生み出したゾンビです。そのもたらした衝撃はすさまじく、その後立て続けに関連作品が製作されるなど、ゾンビ映画はまさしく映画界に増殖・浸食していきました。
[主な展示ポスター]
『ジョーズ』(1975年、日本公開同年、スティーヴン・スピルバーグ監督)/『ゾンビ』(1978年、日本公開1979年、ジョージ・A・ロメロ監督)

《第4章》1960s-1990s より鮮烈に、より残酷に―オカルトとスプラッター
1968年、アメリカ映画界は表現に関する自主規制を撤廃し、レイティング制度に移行しました。そのような流れの中、映画が志向したのは、より鮮烈、より残酷な映像表現でした。これらを存分に発揮することができたのが、人知を超えた超常現象や際立った残酷描写を中心とするオカルトやスプラッターといったジャンルの作品群です。
[主な展示ポスター]
『サスペリア』(1977年、日本公開同年、ダリオ・アルジェント監督)/『クリスティーン』(1983年、日本公開1984年、ジョン・カーペンター監督)

特別コーナー アジアの恐怖映画と欧米の新世代たちによる恐怖映画
日本のみならず、中国・韓国・東南アジア諸国など、アジアでは古くから民話や怪奇譚などに根差した恐怖映画が数多く作られてきました。また、近年はアリ・アスターといった新世代の監督たちによる欧米産の恐怖映画が映画市場を席巻しています。そうした流れの中からも、ホラー作品のポスターを探し出してご紹介します。
[主な展示ポスター]
『霊幻道士』(1985年、日本公開1986年、リッキー・ラウ監督)/『サスペリア』(2018年、日本公開2019年、ルカ・グァダニーノ監督)/『ミッドサマー』(2019年、日本公開2020年、アリ・アスター監督)

《第5章》日本の恐怖映画(1)
▼怪談映画 1920s-1990s
本章では、日本に古くから伝わる怪談に根差した数多くの怪談映画を取り上げます。「四谷怪談」、「化け猫」、「番町皿屋敷」など、映画誕生以前から日本ではいくつもの怪談が生まれ語り継がれてきました。それに呼応するように、日本では怪談に基づく映画が早くから作られてきました。
[主な展示ポスター]
『四谷怪談』(1928年、古海卓二監督)/『怪猫赤壁大明神』(1938年、森一生監督)

《第6章》日本の恐怖映画(2)
▼変身人間 1940s-1960s
終戦後、勢いを取り戻した映画界は、特殊撮影やカラーフィルムといった新しい技術も積極的に取り入れ、旺盛な映画製作を進めます。そうした流れにうまく当てはまったのが、透明人間をはじめとする変身人間の特撮恐怖映画です。
[主な展示ポスター]『美女と液体人間』(1958年、本多猪四郎監督)/『電送人間』(1960年、福田純監督)

▼吸血鬼と異生物 1950s-1970s
欧米での恐怖映画のトレンドは、日本の映画界にも大きな影響を与えました。日本でも、『女吸血鬼』、『吸血鬼ゴケミドロ』といった吸血鬼映画が始まり、やがて『血を吸う薔薇』などの「血を吸う」シリーズも生まれました。さらに、『昆虫大戦争』などの動物パニック作品も盛り上がりを見せました。
[主な展示ポスター]『女吸血鬼』(1959年、中川信夫監督)/『血を吸う薔薇』(1974年、山本迪夫監督)

▼怪奇・ミステリ文学の映像化 1960s-1980s
1976年公開の『犬神家の一族』の大ヒットは、それまで忘れられたミステリ作家の一人だった横溝正史の存在をあぶりだし、横溝作品の映像化を相次いで生み出す結果となりました。横溝とともに映像化に恵まれた作家が江戸川乱歩です。横溝と乱歩のほかにも、怪奇文学やミステリ文学の映像化が行われました。
[主な展示ポスター]『犬神家の一族』(1976年、市川崑監督)/『八つ墓村』(1977年、野村芳太郎監督)

▼Jホラーの興隆 1990s-2020s
1990年代に、高橋洋や黒沢清といった映画製作者たちによって、従来の恐怖映画を更新する試みが行われました。その一連の作品群は国内を超えて世界的な話題を呼び、「Jホラー」と呼ばれる一大ジャンルへと成長を遂げました。展覧会の最後にはJホラーの最新作ポスターを掲示し、現在においても恐怖映画が続々と作られていることを示します。
[主な展示ポスター]『呪怨』(2003年、清水崇監督)/『牛首村』(2022年、清水崇監督)

概要

展覧会名:ポスターでみる映画史 Part 4 恐怖映画の世界
(英題 / Film History in Posters Part 4: Horror Films)

主催:国立映画アーカイブ

会期:2022年12月13日[火]-2023年3月26日[日]
休室日:月曜日および12月27日[火]-1月3日[火]は休室です。
開室時間:午前11時-午後6時30分(入室は午後6時まで)
*1/27と2/24の金曜日は開室時間を午後8時まで延長いたします。(入室は午後7時30分まで)
会場:国立映画アーカイブ 展示室(7階)

料金:一般250円/大学生130円/65歳以上、高校生以下及び18歳未満、障害者(付添者は原則1名まで)、国立映画アーカイブのキャンパスメンバーズは無料

お問合せ:050-5541-8600(ハローダイヤル)
HP:https://www.nfaj.go.jp/exhibition/horrorfilms2022

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