【レポート】世界でますます注目を浴びる「フェムケア」「フェムテック」産業 2人に1人が悩む“デリケートゾーン”は話題にするのもデリケートかも!?衛生用品先進国アメリカに学ぶデリケートゾーン最新トレンド

株式会社ミンテルジャパン
PR TIMES

~製品が「見えない化」される日本では、消費者の半数が悩みを持つも専用製品使用はわずか2割~

 ロンドン本社を含め13か国にオフィスを構える市場調査会社「Mintel Group」の日本法人であり、美容やライフスタイル、食品・飲料分野におけるグローバル調査に強みを持つ、株式会社ミンテルジャパン(東京都千代田区)は、2024年10月に発刊したミンテルジャパンレポート「レディース衛生用品トレンド- 日本 – 2024年」の中で、世界のレディース衛生用品市場と日本における実態、発展が見込まれるフェムケア・フェムテックに関する認知について明らかにしました。
 近年、世界で「フェムケア」や「フェムテック」に注目が集まっています。本レポートで焦点を当てているレディース衛生用品は、「フェムケア」の重要な要素の一つです。日本では「フェムケア」や「フェムテック」という言葉で連想されるのは「デリケートゾーンのケア」がどの年代でも最も多いことから、デリケートゾーンケア市場について米国市場と日本市場を比較してご紹介します。

※ミンテルは美容やライフスタイル、食品・飲料分野における消費者調査に強みを持つ市場調査会社。
 2021年より日本市場向けにミンテルジャパンレポートを発刊。


※本リリースの調査結果をご利用いただく際には、必ず【ミンテルジャパンレポート『レディース衛生用品トレンド 2024年』より】とご明記ください。

ミンテルジャパンレポートについて詳しくはこちら:https://www.mintel.com/jp/jr-dec-2024/

 ミンテルの独自調査によると、アメリカでは、65%の女性またはトランスジェンダー男性がデリケートゾーンケア製品を使用しており、2023年の61%からやや使用率が上昇しています。また、デリケートゾーンケア専用でない製品を代用しケアをしている人が3割いることがわかっており、世界的に増加している同製品群の訴求内容を見ると安全性やエコなど付加価値をつけることで市場拡大の可能性が示唆されています。
 一方日本では、デリケートゾーンケア市場は統計で示せないほど小さく、消費者の8割は専用製品を使用していません。 「フェムケア」「フェムテック」の浸透率も低く、言葉自体を理解している人は半数以下という驚きの結果が出ています。さらに、消費者の5割はデリケートゾーンケアに何らかの悩みを持っているにもかかわらず、積極的に対処しようとしていない現状があります。デリケートゾーンケア製品が店頭で棚の下の方など目立たないところに置かれるなど、気づかぬうちに「見えない化」されていることが原因かもしれません。
 これは、日本においてデリケートゾーンケア製品の伸びしろが大きいことを示しています。アメリカと同様、日本の消費者で専用製品を使用していない人の中にも、専用でない製品を使用してデリケートゾーンケアをしている人がいるかもしれません。デリケートゾーンケアに専用製品が必要な理由を消費者に伝えていく必要がありそうです。

デリケートゾーンケア、米国で65%が使用も専用品の魅力は未開拓?
市場の3割に広がる付加価値の可能性

 世界のレディース衛生用品市場の二強は中国、アメリカです。中国、アメリカを含めたレディース衛生用品市場の主要5か国はこの3年は安定して推移しています。また、アメリカはインフレのため、レディース衛生用品の販売額は上昇傾向です。レディース衛生用品で最も大きな売上のカテゴリーは生理用品(*)で、5割程度を推移しています。
* 生理用品(ナプキン、タンポン、おりものシート)、成人用失禁製品、デリケートゾーン関連製品(デリケートゾーン用ウェットティッシュ/洗浄剤/デオドラント、月経カップ)

日本・英国(2022年、2023年)とドイツ(2022年)は実績値。それ以外は見通し
出典: Mintel Market Sizes Feminine Hygiene and Sanitary Protection Products

 近年、消費者のセルフケア意識は高まっており、これはデリケートゾーンケア製品の使用状況にも見られます。2024年現在、アメリカでは65%の女性またはトランスジェンダー男性がデリケートゾーンケア製品を使用しており、2023年の61%からやや使用率が上昇しています。主に使われているのはウェットティッシュや洗浄剤など、汚れやにおいを取り除くことを目的にした製品ですが、2023年と2024年を比較すると、どのタイプの製品も少しずつ使用率が伸びています。また消費者の3割がデリケートゾーンケア専用のウェットティッシュや洗浄剤を使用している一方、専用でない製品も3割が使用していることがわかっています。

調査対象: 米国:
18歳以上の女性またはトランスジェンダー男性インターネットユーザー1,081人(2023年);1,071人(2024年)
出典: Kantar Profiles/Mintel、2023年1月2024年2月

 過去5年、デリケートゾーンケアの新製品では、保湿性・持続性(*)といった機能、さらに安全性やエコ・エシカルなどといった、人・自然環境に害がない「クリーンビューティ」の訴求率が上昇しています。消費者は主に汚れやにおいを取り除くことを求めてデリケートゾーンケア製品を使用していると思われますが、ブランドはこうした付加価値を訴求してプレミアム感を演出していると考えられます。
* 特定の効果が長時間続くこと

出典: Mintel GNPD、2019年8月‐2024年7月

ウェットティッシュの代替としてエコを訴求
Dr. Vivien Karl 03 Intimate Care Foam
トイレットペーパーに吹き付けて使うお手入れ製品。
ウェットティッシュ125枚分を節約できる。(ドイツ)

画像出典:ミンテル世界新商品データベース(Mintel GNPD)

女性の社会進出と共に注目されるフェムテック市場に衝撃!
過半数が言葉を知らず、想起率が高いデリケートゾーンケア専用製品の使用率はわずか2割

 現代女性の多くが高等教育を受け、仕事もしていますが、職場では依然男性との間に地位・賃金の格差があります。国連は、男女格差が解消され、女性が経済的にもっと力をつけることによって世界経済に7兆ドルの押し上げ効果があると推定(*)しています。女性のさらなる活躍が経済にこれほどプラスの影響をもたらすなら、もっと女性の活躍を後押しすべきでしょう。そこで女性特有の健康を扱う製品やサービスのカテゴリー「フェムテック」(デジタルテクノロジーを使って健康問題を解決するもの)や「フェムケア」(デジタルテクノロジー以外を使って解決するもの)が注目されるようになりました。レディース衛生用品は、「フェムケア」の重要な要素の一つです。

*出典: UN Women, Facts and figures: Economic empowerment 『事実と数字: 経済的エンパワーメント』
https://www.unwomen.org/en/what-we-do/economic-empowerment/facts-and-figures
ミンテルジャパンレポート 『レディース衛生用品トレンド- 日本 – 2024年』に掲載

 しかし、ミンテルが「フェムケア」または「フェムテック」という言葉の認知度を18歳以上の日本人女性を対象に調査したところ、全体の6割は「フェムケア」や「フェムテック」という言葉を知りませんでした。年齢が高くなるほど知らない割合が多く、50代では7割、60代以上では8割が知らないという結果が出ています。

調査対象: 女性の健康について答えられる、18歳以上の女性インターネットユーザー972人
出典: 楽天インサイト/Mintel、2024年7月

 また、「フェムケア」や「フェムテック」という言葉で連想するのは「デリケートゾーンのケア」がどの年代でも最も多く、おそらくこれはデリケートゾーンケア製品には「フェム○○」のような製品名のものが多いからだと考えられます。実際の領域は幅広いですが、消費者の頭の中では「女性の健康や体のケア=デリケートゾーンケア」という図式があるようです。
 なお、デリケートゾーンケア製品使用者では「フェムケア」、「フェムテック」という言葉の認知率が6割と非利用者と比べて高いという調査結果が出ています。専用製品利用者が「フェムケア」、「フェムテック」と聞いて連想するのはやはり「デリケートゾーンのケア」が最も高く、このデータも、消費者がフェムケア=デリケートゾーンケアと思っていることを裏付けています。

調査対象: 女性の健康について答えられる、18歳以上の女性インターネットユーザー972人
出典: 楽天インサイト/Mintel、2024年7月

 「フェムケア」や「フェムテック」という言葉に対してはデリケートゾーンケアの想起率が比較的高いですが、実際に専用の製品を使ってデリケートゾーンの手入れをしている日本の女性は少数派で、全体で2割程度です。若い人ほど使用率は高いですが、18ー29歳でも3割程度です。
 専用のウェットティッシュや洗浄剤、専用品でない製品をそれぞれ3割が使用しているアメリカの消費者と比べると、専用製品を使ってまでデリケートゾーンを手入れするという意識が日本では低いようです。日本の消費者にとってデリケートゾーンケアは、馴染みの薄いことなのかもしれません。

調査対象: 女性の健康について答えられる、18歳以上の女性インターネットユーザー972人
出典: 楽天インサイト/Mintel、2024年7月(使用状況;使用率計

専用製品の使用率が低い一方、2人に1人がデリケートゾーンに悩みがあると回答
気づかぬうちに「見えない化」される日本 “触れられない現実と静かな不安”

 日本はデリケートゾーンケア専用製品の使用率が低い一方で、全体の2人に1人がデリケートゾーンについて何らかの悩みを持っており、特に若い人ほど悩みを持つ人の割合が高いです。つまり、日本の消費者の多くはデリケートゾーンが気になっているにもかかわらず、積極的に対処しようとしていない現状があります。

調査対象: 女性の健康について答えられる、18歳以上の女性インターネットユーザー972人
出典: 楽天インサイト/Mintel、2024年7月

 店頭では、デリケートゾーンケア製品が棚の下の方など目立たないところに置かれていることが多く、日本のデリケートゾーンケア製品の市場規模は、統計として表記できないほど小さくなっています。フェムケアに対する意識調査では、「生理の貧困(*¹)」問題がメディアで広く取り上げられるようになり、消費者の間でも生理について話題にすることは抵抗がなくなってきたと見られる一方、デリケートゾーンケアは話題にしにくいようです。これはミンテルが行った「フェムケアに対する意識調査」からも言えます。女性のデリケートゾーンについては、子どもの頃から触れてはならない話題となっており、大人になっても話題にしにくくなっていると考えられます。

*¹経済的な理由で生理用品を購入できない女性がいるという状況を示す言葉

調査対象: 女性の健康について答えられる、18歳以上の女性インターネットユーザー972人
出典: 楽天インサイト/Mintel、2024年7月

 このような状況は、日本人が性器の話題を避けてきた結果かもしれません。特に女性器についてはその傾向が強く、NHKのアンケート(*²)によると、日本では男性には子どもでもわかる男性器を指す言葉がある一方、58%が家庭において女性器を指す名前がなかったと回答しています。日本社会では女性器を話題にするのはタブーとなっており、このような状況でデリケートゾーンのお手入れを呼びかけるのは困難だったと考えられます。

*²調査対象: 15歳以上の人1,143人
出典: NHK生理リサーチ1
ミンテルジャパンレポート 『レディース衛生用品トレンド- 日本 – 2024年』に掲載

ビジネスチャンス
 日本のデリケートゾーンケア市場は統計で示せないほど小さく、実際に消費者の8割はデリケートゾーンケア専用製品を使用していません。しかし、消費者の5割はデリケートゾーンケアに何らかの悩みを持っています。これは、日本においてデリケートゾーンケア製品の伸びしろが大きいことを示していると言えます。

 また、アメリカでは、消費者の3割がデリケートゾーンケア専用のウェットティッシュや洗浄剤を使用している一方、専用でない製品も3割が使用しています。日本の消費者で専用製品を使用していない人の中にも、専用でない製品を使用してデリケートゾーンケアをしている人がいるかもしれません。日本の各企業やブランドは、まずデリケートゾーンケアに専用製品が必要な理由を消費者に伝える必要がありそうです。

花王のウェブサイト:FemCare LAB
 花王株式会社は「健康な肌は弱酸性(pH4.5~6.5)ですが、デリケートゾーンはそれよりもさらに酸性に傾いた弱酸性(pH3.8~4.5)。そのおかげで、外からの細菌が腟の中に侵入するのを防ぐことができます。普通の石けんやアルカリ性のボディソープで洗ってしまうと、刺激が強すぎて腟の自浄作用を失うこともあります。デリケートゾーン専用の肌にやさしい弱酸性の洗浄料をおすすめします。」と述べて、専用製品をすすめています。
花王株式会社ウェブサイト:https://www.kao.com/jp/femcarelab/useful-info/info04/

ミンテルジャパンレポート 『レディース衛生用品トレンド- 日本 – 2024年』に掲載

「赤ちゃんにも使える」で買いやすくする
 デリケートゾーンケア製品を店頭で購入するのが恥ずかしいという消費者には、「赤ちゃんにも使える」というコミュニケーションは有効かもしれません。実際に子どもがいなくても、購入時に「私ではなく赤ちゃんのためにこの製品を買うんだ」というカムフラージュができます。

 ピジョンデリケートリフレッシュソープルは妊娠中の会陰ケアとして、心地よくマッサージできる妊産婦向けのデリケートゾーン用洗浄剤です。産後は赤ちゃんと一緒にスキンケア用品として使用できるものを販売しています。 妊産婦でなくても、「赤ちゃんにも使える」というコミュニケーションをすることによってより多くの消費者がデリケートゾーンケア製品を買いやすくなるのではないか、とミンテルのアナリストは本レポート内で提案しています。

ピジョン デリケートリフレッシュソープは妊産婦にも赤ちゃんにも使える(日本)
画像出典:ミンテル世界新商品データベース(Mintel GNPD)
ミンテルジャパンレポート 『レディース衛生用品トレンド- 日本 – 2024年』に掲載

■ミンテル ジャパンレポートについて
新製品開発のヒントになるグローバルトレンドと日本におけるその意味について理解を促し、日本市場における商機を探るレポートシリーズ。「美容・化粧品」、「ライフスタイル」、「食品・飲料」分野のレポートをサブスクリプション方式でご提供しています。グローバルと日本、双方の視点でトレンドを捉えることが可能です。

■ミンテル 世界新商品データベース(GNPD)について
世界86ヵ国の日用消費財の新商品を、原料や訴求内容から検索することができるデータベースです。世界各国に配置されたミンテルの調査員が、日々新商品の収集を行うことで、毎月約4万点の商品パッケージ情報をデータベース化し、GNPDを構築しています。商品のあらゆる情報を掲載しているため、様々な視点から世界の製品トレンド分析を行うことが可能です。

■市場調査会社ミンテルの強み
ミンテルに在籍する各分野の専門家であるアナリストは、GNPDに蓄積されたデータや独自の消費者調査、外部データなどを組み合わせて、消費財業界のグローバルトレンドと市場変化の予測を行い、レポートを執筆しています。ミンテルは常に「消費者」に焦点を当て各サービスを展開しており、「消費者が何をなぜ求めているかを探るエキスパート(Experts in what consumers want and why.)」をコーポレートスローガンとしています。

■株式会社Mintel Japan(ミンテルジャパン)
ミンテルジャパンは、ロンドンに本社を置く大手市場調査会社「Mintel Group」の日本法人です。専門分野のアナリストと新商品の調査員を世界各国に配置し、独自の消費者調査や新商品情報の収集を行っております。
その独自のデータを基にした消費財業界のグローバルトレンドと市場変化の予測に強みがあります。日本では主に「美容・化粧品」「食品・飲料」「ライフスタイル」の3分野に注力し、サービスを展開しています。

≪ご利用条件≫
情報の出典元として【ミンテルジャパンレポート 『レディース衛生用品トレンド 2024年』より】の明記をお願いいたします。

■会社概要
企業名   :株式会社ミンテルジャパン
本社所在地 :東京都千代田区丸の内二丁目4番1号 丸の内ビルディング18階
代表    :リチャード・カー
設立日   :2008年03月
事業概要  :トレンドレポートの販売、市場調査、市場分析等
WEBサイト:https://japan.mintel.com/

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