3週に渡り、JJに登場してくれた、[Alexandros]の川上洋平さん。今回はJJ読者の中でも悩みの多い、自分のやりたいことと、続ける熱意についてお話をしてもらいました。バンドデビューの前には、就職経験もあったという川上さんからのアドバイスは必見です。
—読者からの悩みで、「好きなことが見つからない」や「好きなことを続けられる自信がない」ということが多く寄せられるのですが、川上さんはバンドデビューの目標はいつからお持ちでしたか?
僕の場合は、中学や高校の時には明確にバンドをやりたいという目標があったので、ラッキーだったなと思いますね。その頃は、仕事としてどうやっていくのか、成功するかどうかなんてわからなかったけど、ただバンド活動が僕の人生を楽しくするということは確信していました。
好きなものが見つかったというよりは、それしか考えられなかったんです。なので、大学もバンドデビューを考えた学校を選びましたし、大学卒業後にはまだデビューが叶わなかったけど、とりあえず就職をし、社会人になってからも活動は続けていました。会社では、会議中に作詞をしていましたね。
—そこまで夢中になれるものを見つけることは難しいと思うのですが…。
確かに今の時代は手に入るコンテンツが多いので、自分が好きだと感じてしまうものも、必然的に増えますよね。気持ちが増える分、本当に好きなものを見つけるのは難しいと思います。でも、そういった気持ちのブレがあってもいいいと思いますよ。僕は行動しないよりも、行動をして得られる失敗のほうが価値があると思うので。色々と体験をしてみて、「違ったな」と感じることは、本気になれるものを見つける方法のひとつだと思います。
—寄り道をしたサラリーマン時代には、バンドに対する思いは強まりましたか?
僕も会社勤めをしてみて、やっぱり向いていないな、と気付けたし、バンドデビューに対する思いは強くなりました。心のどこかでは、就職をして諦めがつけられるならそうなってくれって思っていた部分もあると思うんですよね。当時27歳でバンドデビューを目指すなんて、簡単なことではないですから。でもやっぱり僕は諦められなかった。それどころか、その気持ちに気付いてしまったから「これは本格的に頑張ろう!」「時間はどれだけかかってもいい」と意思が固まりましたね。
—本気で夢中になれるものとそうでないものの違いは何だと思いますか?
自分がやりたいと思っているものって、やっぱり熱量がちがうんですよね。サラリーマンの時も今も、結局やっていることは同じだと思うんです。商品があって、それを発売して、それがよければ買ってもらえて。それで生計を立てていく。その流れは変わらないんですよ。でも僕は会社員として働いていた時は、今のような熱量は持てていなかった。今はやりたかったバンド活動ができていて、自分のつくった曲を世の中に届けようとなった時に、どんどんアイデアが出てくるんですよね。届けたいものや、実現したいものにたいしての熱量が持てるかどうか。それは大きな違いだと感じます。
—11年目を迎える[Alexandros]の活動では、どのようなことを考えていますか?
このコロナ禍で自分がなにをやりたいのか、やるべきなのかということがみえました。学生のころからバンド活動を必死にやってきたけど、ふと見つめ直した時に、僕もいろいろなものに感化されて、ブレながらきていたんだなと気付いたんです。そこで学んだことが血となり肉となり、今の僕ができていて。そういった経験がありながら今、僕がやりたい曲というものが見えたんです。今、制作に入っているのですが[Alexandros]の本質的なところには立ち返りつつ、今までの自分たちとは違う、よりエッセンシャルな曲を届けられると思います。
コロナ禍で自分を見つめ直した人って多いと思うんですけど、その中で目標から遠くなってしまったと感じてしまった人もいるかもしれない。でも立ち止まってみると、目指していた方向とは違う新しい道に気付くこともあるはずだと思うんです。
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■Profile
川上洋平(かわかみようへい)。[Alexandros]のギターボーカル。2010年にデビューを果たし、昨年10周年を迎えた。先日最終回を迎えたドラマ「ウチの娘は、彼氏が出来ない!!」では、主人公の担当編集者役として俳優デビュー。より幅広い層からの注目を集めている。
写真/永峰拓也 取材・文/川端宏実