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生まれながらにしてスター。コロナ禍をSNSで乗り越えたダイナミックな踊り【王子様の推しドコロ】

vol.2 ジュリアン・マッケイさん

バレエダンサーやフィギュアスケーターなど、アスリートの中でも特に「王子様」と評されるイケメンたち。“王子様っぽさ”の理由は何なのでしょうか。それぞれの魅力をそれぞれの見所から紐解いていきます。

©Nicholas MacKay / MacKay Productions

PROFILE

ジュリアン・マッケイ Julian MacKay/1997年生まれ、アメリカ・モンタナ州出身。まさに“王子様”のようなルックス、ダイナミックな踊りで世界中から注目を集めるバレエダンサー。Instagramのフォロワーは19万人と、その人気を物語っている。現在はミュンヘン・バレエ団のプリンシパルとして活動中。

新世代のスターダンサーとして注目を集めるジュリアン・マッケイさん。バレエファンの間で彼が一躍有名になったのは、2015年、17歳の時に出場した、伝統あるコンクール「ローザンヌ国際バレエコンクール」でのことです。『ジゼル』のアルブレヒトのヴァリエーションと『ティエゴのためのソロ』を踊り、誰よりも輝くスター性と王子様らしい美しい踊りで脚光を浴びることに。

名門バレエ団を渡り歩き、SNS時代の寵児となる

バレエ界に彗星のごとく現れたジュリアンは、両親こそダンサーではないものの、姉2人、弟1人が全員バレエダンサー、バレエ経験者というバレエ一家で育ちました。ロシアの名門「ボリショイ・バレエ・アカデミー」に、外国人では当時最年少記録の11歳で入学し、トップの成績で卒業。アメリカ人として初めて、ロシアのフル・ディプロマを取得しました。その後、前述のローザンヌ国際バレエコンクールでスカラシップを獲得し英国ロイヤルバレエで研修生として踊り、そのまま入団かと思っていたファンの予想を裏切り、ロシアの「ミハイロフスキーバレエ団」に入ります。ロシアのバレエ団といえば泣く子も黙る超名門「ボリショイバレエ団」と「マリインスキーバレエ団」が2大巨頭。「ミハイロフスキーバレエ団」は当時、人気ダンサーが次々と移籍してきていた勢いのあるバレエ団で、ジュリアン・マッケイはバレエ団史上最年少でソリストとなり、次々と主演を任されるように。

©Nicholas MacKay / MacKay Productions

このころから、彼の弟が撮影・プロデュースをしているというInstagramが話題になり始め、現在では19万フォロワーを誇る人気アカウントで彼のダイナミックな踊り、訪れた街でのモードなシューティング、そして貴公子のようなヴィジュアルを見ることができ、バレエファンに限らずファンが急増。その活躍はバレエだけでなく、『VOGUE』や『Numéro』などのモード誌でも特集を組まれるほどになりました。

エレガントでありながらダイナミック。待望の再来日が迫る!

2019年に初来日。その恵まれたヴィジュアルから学生時代から「王子様」と呼ばれていたようですが、彼の踊りの魅力はエレガントでしなやかなだけではないところ。力強くダイナミックなジャンプ、テクニカルな技も光り、コンテンポラリーも踊れる。そんな魅力をいかんなく発揮し初の日本公演を果たしましたが、突如退団を発表しフリーに。直後にコロナ禍が押し寄せ、公演がことごとく中止になりました。コロナ禍では、Instagramでしか近影が確認できなかったものの、サンフランシスコ・バレエ団を経て、2022年9月からミュンヘン・バレエ団のプリンシパル(バレエ団最高峰のダンサーの肩書き)に。今年の1月にはKバレエ カンパニーが主宰するKバレエ オプト「プラスチック」のゲストとして再来日。5月公演の『蝶々夫人』にも出演が決まっており、さらなる活躍が期待されています。

ジュリアン・マッケイさんの姿を見られるのは……Daiwa House PRESENTS 熊川哲也 Kバレエ カンパニー Spring 2023『蝶々夫人』(2023年5月24日~28日)
ディレクターの熊川哲也氏が演出、振付、台本を手掛け、製作したKバレエ カンパニー20周年を記念した作品(2019年初演)。日本人ヒロインの悲恋を描いたプッチーニの同名のオペラをバレエとして再解釈。和と洋が織りなす圧倒的な芸術とドラマティックな愛のドラマが展開します。ジュリアン・マッケイさん(5月24日14:00、25日18:30、26日14:00、27日16:30の公演に出演予定)の役は、長崎に赴任してくる海軍士、ピンカートン。ピンカートンは長崎で可憐な少女・蝶々に出会い恋に落ちるが、それが悲恋の始まりだった……。
チケットなどの詳細、最新情報はKバレエ カンパニー公式ホームページにて。www.k-ballet.co.jp
©Yumiko Inoue

取材・文/味澤彩子

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