福山雅治さん主演の日曜劇場『ラストマン-全盲の捜査官-』(TBS系)に、レギュラー出演している新進俳優・奥智哉(おくともや)さんがJJに初登場。彼は、昨年、ドラマ『大奥』や『みなと商事コインランドリー』、『仮面ライダーリバイス』、映画『ラーゲリより愛を込めて』など、話題作に次々と出演したことで、ネクストブレイク俳優として注目されている。芸能界入りから5年、奥さんは「撮影しているときはがむしゃらで気づかないのですが、素敵な作品に出させていただいている幸せを感じますね」と、自身の出演作について振り返る。今回は、なかでも大きな転機となった作品について振り返ってもらった。
奥智哉
2004年7月18日生まれ 神奈川県出身 2020年、蜷川実花監督のNetflixドラマ『FOLLOWERS』で俳優デビューを果たす。以降、ドラマ『青のSP―学校内警察・嶋田隆平―』、『仮面ライダーリバイス』、『みなと商事コインランドリー』、『大奥』、映画『ラーゲリより愛をこめて』などの話題作に出演。現在はドラマ『ラストマン-全盲の捜査官-』で、刑事・長谷川壮太役を演じている。
「映画『るろうに剣心』の佐藤健を観て、芸能界を目指しました」
奥さんが芸能界に入ったのは、13歳のときのこと。父親から将来の夢について聞かれ、冗談のつもりで言った言葉がきっかけとなった。
「『るろうに剣心』の映画のPRで、佐藤健さんがテレビに出演していまして、それを観ているときに父親に『将来何になりたいの?』と聞かれたんですよ。冗談半分で『僕もこういうお仕事できるのかな?』と言ったら、父はそれを真に受けて、父はそれを真に受けて、すぐに現在所属している事務所に履歴書を送付。あれよあれよという間に、所属が決まりました。父の行動力には驚きましたよ(笑)」
俳優デビューは、2020年。蜷川実花監督作品のNetflixドラマ『FOLLOWERS』だった。
「『本当にいい作品に出させていただいているな』と思いますよね。初出演ドラマで、母親役が夏木マリさんだなんて贅沢すぎます。当時は無知だったので、怖いもの知らずでいられましたが、いま再び夏木さんと共演するなんてなったら、もう大緊張ですよ(笑)。一流の方のお仕事を間近に見たことで『日々、具体的な目標を掲げて、それをクリアしていかないといけないんだ』ということを学ぶことができました」
以降、2021年のドラマ『青のSP―学校内警察・嶋田隆平―』、2022年の『仮面ライダーリバイス』などの人気作に次々と出演する。なかでも、特に奥さんのなかで印象に残っている作品を聞いた。
「敢えて挙げるならドラマ『大奥』でしょうか。初めての時代劇に、京都弁での芝居と、とにかく初めて尽くしでした。特別印象に残ったのは、集中力がみなぎっていた現場の雰囲気。ふだんは楽しい現場なのですが、『さて、始めましょう』となると俳優陣もスタッフさんもピリッと引き締まる。心地よい緊張感を経験して、『これが俳優の醍醐味か』と思いました」
『大奥』では「3代・徳川家光×万里小路有功(までのこうじありこと) 編」で、玉栄(ぎょくえい)を演じた奥さん。玉栄は、のちに家光の側室になるキーパーソンである。苦労したのは時代劇ならではの所作だった。
「立ち方、座り方をひとつとっても、手の置き方、広げ方があります。礼をするときにも、正しい角度があって、胸を張って背筋をピンと立てて、腰から折って頭を下げなければいけない。お茶碗は、指をふちにかけないように側面を持たないといけないなど、とにかく覚えることが多かったです」
「福士蒼汰さんはふつうに立っているだけでかっこよかった」
さまざまな課題と向き合うなかで、共演者の福士蒼汰さん(万里小路有功役)には多くのことを教わったそうだ。
「福士さんは、居合道をやられているそうで、正座やお辞儀の所作がとても自然で綺麗なんですよ。もう、ふつうに立っているだけで、めちゃくちゃかっこいいんです。とてもいいお手本でした。福士さんには、お芝居の面でもいろいろと教えていただきました。撮影後に、モニターでリプレイして、反省会をするんですよ。福士さんはどこがよかったとか、もっとこうした方がいいんじゃないかとか、一緒になって考えてくださって。おかげで、ひとつひとつのシーンを大切に撮影できたと思います」
これから挑戦してみたい役について聞くと、「もう一度、時代劇をやってみたい」と話す。
「小学生のころから、日本史が好きで『歴史クラブ』に所属していました。好きな戦国武将は、真田幸村です」
では、真田幸村を演じるのが、奥さんの夢?
「いや〜、真田幸村を演じるのは畏れ多いので、家臣にでもさせていただけたらめちゃくちゃ嬉しいです(笑)。大阪夏の陣で一緒に戦えたら本望です」
後半のインタビューでは、現在出演中のTBS日曜劇場『ラストマン-全盲の捜査官-』の撮影秘話について聞く。
写真・木村哲夫 取材・小石原悠介