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女医に聞いた!生理日を移動させるピルの気になる疑問「予定があるなら生理予定日約5日前から飲みましょう」

楽しみにしていた旅行やレジャーの予定に生理がかぶってしまったら…!? 間違いなくテンションは上がらないし、旅行中止の選択もよぎるかも。
体もしんどいし、生理用品を持っていくだけでも荷物は増える…。面倒くさいことだらけ。

ピルで生理期間をコントロールして、予定を思い切り楽しみたい! そんなこと考えたことはありますか? でも遊びのために生理をコントロールするなんてやっていいことなのか…? 後ろめたさを感じる人もいるでしょう。

実は「生理を自分の意思で止めることは悪いことではない」と産婦人科医師の高橋怜奈医師は話してくれました。今回は生理をコントロールすることのメリットと、方法を教えてもらいました!

教えてくれたのは…

産婦人科医・高橋怜奈医師
元プロボクサーという肩書を持つ異色の産婦人科医師。SNSでの発信を積極的に行っており、女性の身体や性にまつわる悩みに応えるYouTubeチャンネルが大人気! 
【産婦人科医YouTuber高橋怜奈】
http://www.youtube.com/channel/UCVR9XnYBIQ4OlGmFPUNGGVQ

▼生理を自分の意思でコントロールすることは何も悪くない!

女性が経験をする生理の回数が増えている現代では、生理を止めるメリットも大きい

高橋怜奈医師(以下・高橋医師)「現代女性が人生で経験する生理の回数は、昔の女性と比較して約9倍ほどに増えています。

これは、当時と比べて栄養がしっかりと摂れるようになったことから初経の年齢が早くなったこと、さらに閉経の年齢は遅くなっていること。そして1人の女性が経験をする出産の回数が減ったことが原因と言われています。昔は1人の女性が産む子供の数も5人や多いと10人など、現代とは大きく違いました。妊娠中や産後は生理がこないので、必然的に人生で経験をする生理の回数が今よりも少なかったのです。

生理は子供を産むために必要な体の機能であることから、昔から自然体であることがいいとされていました。しかし、実は体にとって大きな負担を与えているという一面もあります。

そういった生理のリスクから、ピルなどを使って生理をコントロールする”ことは、現代の女性にとって大きなメリットがあります

 

 

▼実は生理の回数が多いとリスクもある

気づかないうちに子宮や卵巣に大きな負担をかけている

高橋医師「排卵後、妊娠をしていないと子宮内膜がはがれることで出血し、生理が起こります。
卵巣は排卵をすることで毎回炎症が起きていることと同じ状態です。
また経血は、毎月子宮から腟に出る時に卵管を通って腹腔内に逆流します。それが原因となって子宮内膜症を発症するリスクがあるため、生理が繰り返されるたびに子宮内膜症のリスクが上がってしまいます。

つまり 排卵や生理の回数が積み重なっていくと、それだけ卵巣や子宮への負担がかかり、卵巣がんのリスクや卵巣機能の低下に繋がってしまうのです。

生理を止めることは、卵巣がんの予防や卵巣機能を保つという意味でも効果的だと考えられます」

 

 

▼予定と生理をずらしたいという理由なら、生理予定日の5日前ぐらいからピルをのめばOK

生理の期間を変えたいのか、止めたいのか? 目的を医師に伝えて相談を

高橋医師「生理期間をどのようにコントロールしたいのか、それによって処方されるピルや方法が変わってきます。

例えば旅行期間に当たらないよう数日ずらしたいということなら、中用量ピルをご自身の生理予定日の5日前ぐらいから生理がきてもいい日まで飲むことで、飲み終わった日の3日後ぐらいから生理がはじまります。

ただこの方法だと、中用量ピルが体に合わなかった場合、副作用の気持ち悪さなどの体調不良が予定中に起こってしまう可能性があります。そうなると予定を楽しめないという心配もありますね。

そういったリスクを考えると、イベントがある前の月の生理がはじまった5日目からピルを1週間〜10日ほど飲み、イベントの前に生理を終わらせるスケジュールがよいかもしれません。

しかしこの方法では 生理不順の人はコントロールがしづらいという場合もあります。
イベントの前に生理を終わらせる調整をしたのに、すぐにまたきてしまったり…こういった人もいらっしゃるので、生理が不順な人はイベント中に飲んだ方が確実かと思います。

また比較的副作用の少ない、低用量ピルを選ぶ方法もあります。ワンシート飲み終わると生理がくるという低用量ピルなら、前の月の生理の初日から飲んでおけば、次の月の生理はピルを飲む期間を伸ばして、数日ずらすことも可能です」

 

 

▼前もって数ヶ月前から調整をしても、予定とかぶってしまう可能性も

結局、直前で調整をはじめることになる場合もあります

高橋医師「生理をピンポイントでコントロールするためには、その人の生理周期がはっきりとしていることが大前提です。そのためには、しっかりと自分の生理周期を調べるようにしてください。

しかし、きっちり28日周期で生理がくる人はとても稀。
そういったことから、一番いいタイミングはイベントがある前月の生理がわかった時点か、前月の生理が来た3日以内でご相談がベストなタイミングかと思います。
その時期にご相談いただければ、前倒しにすることもできるし、イベント後に後ろ倒しにする方法を選ぶこともできます。

ピルで生理を調整するといっても、ピルの種類もタイミングも選択肢はさまざまです。産婦人科を受診して医師と相談をすれば、自分にとってベストな方法を選べますよ」

 

 

▼ピルを飲めば妊娠のしやすさをいつまでも保てるとは考えないで

妊娠の確率が時間とともに下がることは自然の摂理

高橋医師「ピルなどで排卵を止めると卵子が残り、将来的にも妊娠の確率が下がらないと勘違いをしてしまっている人がいます。

ピルなどで排卵を止めたとしても、毎月1000個ほどの卵子は自然になくなってしまいます。これは時間の経過として、どうしても止めることはできません。また、自身の年齢とともに卵子の年齢もあがり、妊娠はしにくくなります。

そういったことも含めて、メリットとデメリットを正しく理解して取り入れてください」

 

 

ピルのリスク

安全に、自分にあったものを選べるピルですが、血栓症のリスクがあることは理解しましょう。生活習慣や体質によってはピルが処方されない場合もあります。

そういった人はミレーナなど他の方法で生理をコントロールすることもできますので産婦人科で相談をしてみましょう。

【ピルを処方できない人】
・重症な高脂血症のある人
・重症な高血圧の人
・ヘビースモーカー
・乳がんのある人
・重症な肝機能障害
50歳以上または閉経している人 など

写真/Unsplash(Imani Bahati、Reproductive Health Supplies Coalition)

取材/川端宏実

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