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【JJドラマ部】2023年夏ドラマ反省会!満足度1位はVIVANT?それとも…

『VIVANT』(TBS)公式サイトより

例年、不作といわれる夏ドラマですが、今年は『VIVANT』をはじめ話題作が盛りだくさん!で、結局どれが面白かったのか、あれこれ検証するためにドラマファンのコラムニスト小林久乃と元JJ編集長イマイズミが1位から5位まで順位をつけました。ネタバレ満載なので、録画しっぱなしでまだ観終わってない人は気をつけてください!

豊作の夏ドラマからオタクの二人がBEST5を選びました!

小林久乃(以下、小林):いやー、豊作でしたね、今年の夏は。5本選ぶのに結構悩んだんですけど、早速5位から発表しますか!

元JJ編集長イマイズミ(以下、イマ):ちょっと待ってください! 以前、全く情報がない中で『VIVANT』(TBS系)のストーリーを予想した時に“ええと、これは私の勝手な予想ですけど、企業買収や国際政治が絡んできそうなんですよね、モンゴルがロケ地だし地下資源の奪い合いとか”って言った私、スゴくないですか?(笑)。

小林:それを言うなら、私も堺雅人と阿部寛が番宣で『バナナマンのせっかくグルメ‼』(TBS系)に出るはず!って予想してましたから(笑)。ていうか、ここでマウントの取り合いをしても不毛なので発表に進みましょうよ。

イマ:それでは気を取り直して、私の第5位は『こっち向いてよ向井くん』(日本テレビ系)です! 恋愛において、男性側から見た絵と女性側から見た絵が全然違うという見せ方が秀逸でした。あと、全く共感はできなかったけど、洸稀(波瑠)の男女の仲のスタンス、麻美(藤原さくら)の結婚生活のスタンスが今どきだったこと。

小林:昭和世代の私たちからすると、「告白してから付き合う」とか「結婚したら一緒に住む」ことに何の疑問も持たなかったけど、現代のアラサーはあんなふうにいろいろと思うところがあるんだろうね。個人的には、ラスボスだと踏んでた美和子(生田絵梨花)と中盤であっさり元サヤに収まるところと、そこだけは絶対にいくなよ!って思っていた洸稀に向井くん(赤楚衛二)がいってしまったところは、ちょっと残念でしたね。向井くんにはもっと振られ続けてほしかった(笑)

イマ:たしかに4話目までの展開は神でしたね。恋愛下手なの?それともアホなの?と思わせるアラサー男子を演じた赤楚くんはこれが代表作になる気がします。小林さんの5位は何ですか?

小林:私は『彼女たちの犯罪』(読売テレビ・日本テレビ系)です。入れ替わりのトリックとか、昔のサスペンスドラマを思わせる展開に引きこまれました。そして、マエアツの演技! 実は悲しい生い立ちだった神野由香里(前田敦子)のどこか空虚な感じ、ちゃんとリアリティーがありましたよね。そして、野間口さん大活躍!(笑)。

イマ:たしかに上原刑事(野間口徹)の捜査が進展し始めてから、一気に緊張感が出てきました。

小林:野間口さん、刑事役をやることが多いんですよね。一見できなそうなのに実は敏腕デカ的な。もう、野間口さんに追われたら一巻の終わりです(笑)。

さすがテレ東!の『初恋、ざらり』とダークホースの『わたしの一番最悪なともだち』が3~4位

イマ:そして、4位がかぶりましたね。二人とも『初恋、ざらり』(テレビ東京系)がランクイン。

小林:人気漫画の映像化とはいえ、この時代に軽度知的障害者が主人公のドラマを作るテレ東の覚悟に拍手です。途中、苦しくて見ていられなくなるようなシーンがいくつかあったけど、そこは逃げずにちゃんと描いていた。だからこそ、二人が幸せに向かうラストが生きてくる。

イマ:最終回だけ、いつもエンディングで流れていた「恋の色/ヒグチアイ」で終わらず、オープニングテーマの「あたしの全部を愛せない/a子」で締める演出が凄く良かった。思ってることを素直に言えるようになった有紗(小野花梨)と歌詞の内容が重なるんですよ。もはやイントロが流れただけで泣ける状態です…。

小林:感受性豊かすぎますね(笑)。そして、3位もかぶっちゃいましたけど、『わたしの一番最悪なともだち』(NHK総合)。謎解きや陰謀ものが多かった夏ドラマの中で、奇をてらわずに日常を淡々と描くこの作品が光っていました。

イマ:若手脚本家・兵頭るりさんの書くセリフがフレッシュで良かったです。これはベテラン脚本家には書けない、「今」の感じ。そして、陽キャな友達・鍵谷美晴役を演じた髙石あかりに度肝を抜かれました。演技も上手いし、ダンスも踊れて、おまけに歌も上手い。

小林:主役をやった蒔田彩珠の演技も良かったですよね。抑揚のない控えめな演技が幼いころから劣等感を抱いている笠松ほたる役にぴったり。「本当の自分」と「なりたい自分」のギャップに苦しんだり、それゆえ虚飾を張ったりと、誰もが経験したことあるエピソードが散りばめられていて。とにかく共感性が高いドラマです。「夜ドラ」の15分という尺もちょうどいい。

イマ『真夏のシンデレラ』(フジテレビ系)に出ていた仁村紗和が主演の『あなたのブツが、ここに』(2022年/NHK総合)もこの枠でしたね。あれも名作でした。

小林:夜ドラはテレビ離れした若者向けのドラマ枠らしいんですけど、大人にも十分響く作品が多いので、皆さん絶対観た方がいいですよ!

2位は池井戸潤原作ドラマと王道月9ドラマ

イマ:4位、3位と同じ作品でしたが、ここからはっきり分かれましたね。私の2位は「ハヤブサ消防団」(テレビ朝日系)。放火犯を探すただの田園ミステリーかと思ったら、新興宗教が絡んできて俄然目が離せない展開になった。やっぱり、いいドラマは時代性に富んでいるなーと。

小林:生瀬勝久をはじめとするおじさん軍団も良かったけど、主演の中村倫也はさすがでした。田舎に引っ込んだ売れない作家から、いざという時にハヤブサ地区を救うヒーローまで振り幅の広い役を難なく演じ切った。

イマ:このドラマは俳優陣が実力のある人ばかりでしたね。で、小林さんの2位は?

小林:もちろん『真夏のシンデレラ』ですよ! はいはい、言いたいことはわかりますよ。辻褄が合わないところが多いとか、湘南を田舎扱いしすぎとか、都合が良すぎる展開とか…。でもこれは今までの月9の要素をテンコ盛りにした、最高に私好みのドラマなんです。

イマ:最初はトンデモ展開をツッコミながら観てたんですけど、だんだんみんなが物分かりよくなってきて、ちょっとトーンダウンした印象です。最終回は匠(神尾楓珠)が死ぬか記憶喪失になると思ったんですけど、それも起きなかった(笑)。

小林:全体的に突拍子ないかもしれないけど、実は格差社会とか若者の貧困問題とか、世相を反映したドラマでもあるんですよ。だって、なっつん(森七菜)働きすぎじゃないですか? SUPの先生やって、居酒屋の手伝いやって、ポンコツ親子の面倒まで見て…おまけに母親にお金までたかられて。

イマ:あれ、よく我慢できますよね。どんだけハート強いのかと。

小林『プロミス・シンデレラ』(2021年/TBS系)もそうでしたけど、シンデレラってタイトルに入ったドラマにまともなものを求めちゃいけないんです(笑)。

イマ:しかし、脚本は新人の市東さやかさんですけど、全盛時を知らない世代にも関わらずこの月9っぽさって、自分で考えて書いたのか、それとも誰かに書かされたのかどっちなんですかね。

小林:そこらへんは次回作で見極めたいですね。私はまた、こういう青春群像劇を観たいです!

この夏最大の話題作と癒し系ドラマが1位を獲得!

イマ:そして、いよいよ2023年夏ドラマ第一位は……『VIVANT』です!

小林:ハイ、言うと思ったー!(笑)

イマ:いやいや、今年の夏で『VIVANT』を外すわけにはいかないでしょ。予測できないストーリー、豪華な俳優陣、そしてプロモーションも斬新でした。毎回考察が盛り上がったし。

小林:とにかく、今までのドラマとは予算のかけ方が違いましたね。Netflixなど海外のストリーミングサービスに押され気味だけど、日本でもこんなにスケールの大きいドラマが作れるんだという証しになりましたね。普段ドラマを観ない人たちも巻きこんだ作品って『半沢直樹』(2013年/TBS系)以来じゃないかな。

イマ:たしかに。この前、目黒を歩いていたら『VIVANT』のロゴTシャツを着てるおばさまを見かけて、これはいよいよ日本中にキテるなと(笑)。

小林:そして、最終回直前に2時間のバラエティー特番を流すのも前代未聞ですよね。そういう意味でも新しかった。ラストは含みを持たせて終わり方でしたけど…。

イマ:絶対に続編か映画をやりますよ。TBSはこの後も『VIVANT』で食っていく気満々でしょ(笑)。そして、小林さんの1位は『ばらかもん』(フジテレビ系)でしょ?

小林:え、なんでわかったの!

イマ:ちょくちょく「ばらかもん、しみるわ~」って言ってたし。

小林:『ばらかもん』はホントに没入して観ていました。田舎暮らし、書けなくて悶々とする主人公、そして愛らしい子役たち、この三点セットに毎週癒されて…。私の地元はあそこまで田舎じゃないんですけど、勝手に近所の人が家に上がりこんでくる感じはまさに同じなんです。そして、創作が進まない清舟(杉野遥亮)…、わかる、わかるよ!

イマ:たしかに没入してますね(笑)。

小林:このドラマだけ、まだハードディスクから消してないんですよ。子役が大きくなる前に、ぜひ『ばらかもん2』をやってほしいです!

イマ:そんなふうに引きずってる暇はないですよ! 10月から始まる秋ドラマについて語りましょう!

小林:…秋も月9が熱そうですね!(次回に続く)

【コラムニスト小林久乃の選ぶ夏ドラマBEST5】
① ばらかもん
② 真夏のシンデレラ
③ わたしの一番最悪なともだち
④ 初恋、ざらり
⑤ 彼女たちの犯罪

【元JJ編集長イマイズミの夏ドラマBEST5】
① VIVANT
② ハヤブサ消防団
③ わたしの一番最悪なともだち
④ 初恋、ざらり
⑤ こっち向いてよ向井くん

小林久乃(こばやし・ひさの)コラムニスト、編集者。正々堂々の独身。中学生から地上波ドラマを愛して30年以上、筋金入りのオタク。好きが高じてついには『ベスト・オブ・平成ドラマ!』(青春出版社刊)を上梓した。ラブストーリーが好きで、特に禁断の恋がテーマとなると視聴熱が俄然、盛り上がる。公式HPはhttps://hisano-kobayashi.themedia.jp

元JJ編集長イマイズミ 女性誌『CLASSY.』『JJ』の編集長を歴任。1クールの地上波ドラマを全録画するようになったのは、編集長になった13年ほど前から。「仕事で新しい俳優、タレントさんを覚えるため」というのが理由だったけど、見事に大ハマり。ホームドラマとラブコメ好き。韓国ドラマもやや中毒。

イラスト/lala nitta

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