『ONE DAY ~聖夜のから騒ぎ~』(フジテレビ)公式サイトより
例年、クリスマスなど年末イベントに向けて盛り上がっていく秋ドラマは、各局力の入った作品が目白押し。ドラマオタクのコラムニスト・小林久乃と元JJ編集長イマイズミが選ぶ、絶対見るべき秋ドラマを月曜日から順にピックアップしました。あなたの気になるドラマはありますか?
月曜日は『ONE DAY ~聖夜のから騒ぎ~』一択!
元JJ編集長イマイズミ(以下、イマ):さて、さっそく月曜日からそれぞれが期待しているドラマをあげていきましょう。
小林久乃(以下、小林):月曜日はなんといっても『ONE DAY ~聖夜のから騒ぎ~』(フジテレビ系)で決まりでしょう!
イマ:同意です。二宮和也、大沢たかお、中谷美紀のトリプル主演で、それぞれのストーリーが絡み合うクリスマスイブの1日を、1クールかけて描くという挑戦的な作品です。しかも、ここに佐藤浩市が横串で絡んでくるという豪華キャストっぷり。
小林:刑事ドラマ、お仕事ドラマ、料理ドラマと、フジのドラマてんこ盛りな感じの初回でしたね。
イマ:登場人物が一斉に出てきて何が何だか分からない、混沌とした状態でした。これから回を追うごとに謎が明らかになっていく展開でしょうけど、ちょっと芝居がかったセリフ回しは好き嫌いが分かれそう。
小林:私は特に大沢たかおに注目です!
イマ:はいはい、小林さんの好きな塩顔枠ですね(笑)。月曜日は二人とも同じドラマを選びましたが、火曜日は絞り切れないほど多かったです。
期待作が多すぎて火曜ドラマは大渋滞!
小林:『家政夫のミタゾノ』(テレビ朝日系)がついにゴールデン進出ですよ! 松岡(昌宏)くん(三田園薫役)の美脚ぶりを、シリーズ1から応援してきた私としてはとても感慨深いです。
イマ:今回でシリーズ6ですよね。正直、こんなに長く続くと思ってなかったな。
小林:スタート当初は『家政婦は見た!』(1983年/テレビ朝日系)や『家政婦のミタ』(2011年/日本テレビ系)のパクリだなんだと言われていましたが、完全にミタゾノワールド確立しちゃいましたね。今回も、他人の心の闇に容赦なく土足で踏み込むミタゾノさんに期待です。
イマ:私は『時をかけるな、恋人たち』(カンテレ・フジテレビ系)です。未来からやってきたパトロール隊員・井浦翔(永山瑛太)と、仕事はできるけど恋愛下手な代理店AD・常盤廻(吉岡里帆)のラブストーリーです。
小林:えー、また時空超えちゃう系ですか…。普通に時は進まないのかと!
イマ:タイムトラベルものは設定がちゃんとしてないと何でもありになっちゃうから、そこらへんはどうするのか見ものですね。『ブラッシュアップライフ』(2023年/日本テレビ系)くらいシンプルな構成だと没入しやすいんですが…。
小林:前クールの『最高の教師 1年後、私は生徒に■された』(2023年/日本テレビ系)は、ん?なんで同じようにタイムリープした鵜久森さん(芦田愛菜)は死んで、九条先生(松岡茉優)は生き残ったの?って感じになりました。
イマ:そこはきちんと説明されなくて消化不良でしたね。あと、衣装とか美術のスタートレックのようなレトロ感は、おじさんにグッとくるポイントです。吉岡里帆のあざとい感じが若干苦手なんですが、総合的に見ると面白そうかな…。
小林:非モテキャラを演じる吉岡里帆は好きですけどね。そして、火曜日は本当に豊作で、私はMEGUMIプロデュースドラマ第2弾の『くすぶり女とすん止め女』(テレビ東京系)を推します。
イマ:モラハラ夫に25年間虐げられてきた専業主婦と仕事も恋愛もいつも2番手扱いされるZ世代女子の話ですね。初回を観ましたが、モラハラ夫役の勝村政信がホントに憎たらしい!
小林:MEGUMIプロデュースの前作『完全に詰んだイチ子はもうカリスマになるしかないの』(テレビ東京系)も女性を応援するドラマでしたが、セリフから衣装から美術まで彼女のこだわりが行き渡っている。以前インタビューした時に、カンヌ映画祭に出品したいって言っていましたが、そのうち実現しちゃうんじゃないかな。女性の生き方とかフェミニズムに対してまっすぐ向き合う制作姿勢も好印象です。
イマ:これ観ていると横から妻に「あんた、こういうところあるよね?」って言われるので、最後まで心折れずに観られるか不安です(笑)。そして私が気になっているのは『マイホームヒーロー』(MBS・TBS系)で、「ヤングマガジン」に連載している漫画が原作。娘を殺されたサラリーマンが半グレ集団と対決するサスペンスドラマです。なんでこんな深夜帯に佐々木蔵之介(鳥栖哲雄役)や木村多江(鳥栖歌仙役)が出るんだろうと思ったら、来春に映画化も決まっているらしいです。
小林:え、じゃあ“続きは映画館で”ってこと? なんかドラマは尻切れトンボで終わりそうですね。
イマ:たしかに、そこはちょっと不安です。死体処理するエグいシーンもあるんですが、これは深夜ドラマだからできるんでしょうね。
小林:そんな気分が落ちそうなドラマより、『マイ・セカンド・アオハル』(TBS系)を観ましょうよ! ドン底まで落ちたアラサーOLが大学受験をやり直して、そこで年下男子と恋をするというラブストーリーです。しかも主演は、なにわ男子の道枝駿佑くん!
イマ:もう小林さんの大好物が揃ってるじゃないですか(笑)
小林:日本のみならず韓国や中国でも人気爆発の道枝くん。相変わらず透明感を背負って歩いてます!
イマ:渋谷駅の構内にでっかい宣伝ボードがあったんですけど、みっちーファンが写真を撮るのに列をなしてましたよ。
小林:このドラマ、ただのラブストーリーじゃなくて若者の貧困問題とかリスキリングとかちゃんと現代的な要素も押さえているの期待大です。
水曜日はライブが凄いパリピドラマと久しぶりのホームドラマに期待大!
イマ:そして、スタートが早くてもう3話目も過ぎちゃいましたが、水曜日は『パリピ孔明』(フジテレビ系)がいいですねー。三国時代からタイムスリップしてきた諸葛孔明が、歌手志望の子に計略を授けてメジャーデビューを目指すという話で、これも「ヤングマガジン」連載の漫画が原作です。
小林:こういうクセのある役も難なくこなす向井理(諸葛孔明役)に、役者としての進化を感じます。もうただのイケメン俳優じゃないなと。そして、バーテンダーのバイトをしていただけあって、カクテルを作るシーンは圧巻でした。
イマ:上白石萌歌の歌もいいですよね。最初はカバーばっかりだったけど、オリジナル曲を歌うあたりからぐんと良くなっていく。他もアヴちゃん(女王蜂)、関口メンディーとELLY、そして菅原小春と、出演しているアーティストは本物だし、ライブシーンもMVを撮っている監督なので迫力満点です。
小林:メンディー仕上がってるよねー(笑)。体、バッキバキですよ。
イマ:あと、見どころは森山未來の三国志オタぶりです。三国志ネタが入っているセリフは、アドリブで3倍ぐらいの量になることがあるらしいですよ。
小林:三国志愛、だだ洩れですね(笑)。ついてこれる人いるのかしら…。
イマ:そして水曜日のもう一つの本命ですが、小池栄子初主演ドラマ『コタツがない家』(日本テレビ系)に注目です。やり手女社長がダメ男3人を養っていくというホームコメディー。小池栄子が打ち合わせでぽろっと言った愚痴がそのまんま台本に書いてあったという、ほぼ当て書きじゃないか説もあります。
小林:脚本家は私が大好きな金子茂樹さん。金子さんの作品だと嵐の大野くん主演『世界一難しい恋』(2016年/日本テレビ系)が好きで、まだハードディスクから消してないと思う。
イマ:向田邦子賞を受賞した『俺の話は長い』(2019年/日本テレビ系)も最高でした。これで夏ドラマに足りなかったホームドラマがやっと観られる! それにしてもタイトルの『コタツがない家』ってどういう意味なんですかね…。
小林:うーん、今どきの家はそもそもコタツがないもんね。コタツといえば、昔、「男子を家に誘いたければコタツを買え」っていう恋愛格言がありましたよ。
イマ:え? どういうことですか?
小林:一人暮らしの女子の部屋にコタツがあるってこと自体珍しいし、コタツが醸しだす実家的な雰囲気で自然と男が吸い寄せられていくっていう。
イマ:コタツにそんな男子ホイホイみたいな機能があったんですね(笑)。ていうか、それタイトルの考察となんか関係あります?
小林:いや、全然ないよ。ちょっと昔話をしたかっただけ!
イマ:まだ水曜日までしかいってないのに…(後編へ続く)
→【JJドラマ部】絶対観るべき2023年秋ドラマ勝手に予想!②
小林久乃(こばやし・ひさの)コラムニスト、編集者。正々堂々の独身。中学生から地上波ドラマを愛して30年以上、筋金入りのオタク。好きが高じてついには『ベスト・オブ・平成ドラマ!』(青春出版社刊)を上梓した。ラブストーリーが好きで、特に禁断の恋がテーマとなると視聴熱が俄然、盛り上がる。公式HPはhttps://hisano-kobayashi.themedia.jp
元JJ編集長イマイズミ 女性誌『CLASSY.』『JJ』の編集長を歴任。1クールの地上波ドラマを全録画するようになったのは、編集長になった13年ほど前から。「仕事で新しい俳優、タレントさんを覚えるため」というのが理由だったけど、見事に大ハマり。ホームドラマとラブコメ好き。韓国ドラマもやや中毒。
イラスト/lala nitta