『おっさんずラブ -リターンズ-』(テレビ朝日)公式ホームページより
大ヒットドラマの続編が5年ぶりに登場!
イマ:さて、この記事を書いている頃にもう初回が始まったドラマですが、『おっさんずラブ -リターンズ-』(金曜11時15分~/テレビ朝日系)は観ました?
小林:完全に吉田鋼太郎劇場でしたね(笑)。一応、田中圭が主役なのに。
イマ:『きのう何食べた?』(2023年/テレ東系)の内野聖陽(ケンヂ役)くらい自由奔放でした(笑)。今回の舞台は、前作『おっさんずラブ』(2018年)から5年経った世界。春田(田中圭)と牧(林遣都)はついに結ばれ、そこに再び黒澤部長(吉田鋼太郎)が絡んできて…。
小林:おなじみのメンツに加えて、新キャストの井浦新(和泉幸役)と三浦翔平(六道菊之助)がどう関わってくるのかも楽しみです。
イマ:ドラマだけにとどまらず、番組コラボカフェを開催したり(1月30日まで)、はるたんあったかマフラー(笑)など公式グッズを発売したりと多角的なプロモーションを展開しています。
小林:しっかりと固定ファンがいるってことですね。しかし、吉田鋼太郎はテレビも映画も出ずっぱりですね。もともと舞台の人だったのに、映像の世界に引っ張り込んだ小栗旬って先見の明がありますよね。
イマ:蜷川幸雄の舞台での共演がきっかけでしたっけ?
小林:そうそう。そして『半澤直樹』(2013年/TBS系)、朝ドラ『花子とアン』(2014年/NHK総合)の出演で50過ぎてからの大ブレイク。
イマ:遅咲きの俳優といえば、西島秀俊主演の日曜劇場『さよならマエストロ ~父と私のアパッシオナート~』(1月14日21時~/TBS系)にも注目です。突然海外から帰国することになった天才指揮者・夏目俊平(西島秀俊)と音楽嫌いの娘・夏目響(芦田愛菜)が地方オーケストラを通して親子の絆を再生していくヒューマンドラマです。
小林:西島さんって『あすなろ白書』(1993年フジテレビ系)で一度ブレイクしてるんですけどね。しばらく民放に出られない時代を経て、『ストロベリーナイト』(2010年/フジテレビ系)、大河ドラマ『八重の桜』(2013年/NHK総合)など話題作の出演で40過ぎて再ブレイク。最近主演した映画『ドライブ・マイ・カー』(2021年)ではアカデミー賞国際長編映画賞ですよ。
イマ:あとは二代目ダイワマンですね(笑)。話を戻しますけど、『さよならマエストロ』は娘役の芦田愛菜をはじめ、ベテラン勢は西田敏行、津田寛治、石田ゆり子、フレッシュなメンツとして宮沢氷魚、新木優子、當間あみとバラエティー豊かな俳優陣です。
小林:日曜劇場らしい華やかさはありますね。オーケストラの群像劇に親子の物語が絡んで良質なホームドラマになりそうです。あれ、玉鉄(玉山鉄二)ちょっと太ったかな? 役作りだといいんですけど…。
イマ:見た目が全然変わらない、っていうか、むしろ渋さが増してカッコよくなってる俳優といえば、反町隆史が主演の『グレイトギフト』(1月18日21時~/テレビ朝日系)を小林さんは推してますね。
小林:反町隆史はわれわれ世代からしたらスターですよ、スター! 内容はどうでもいいから彼が主演というだけで観る価値があります(笑)。
イマ:一応、内容をいうと完全犯罪の殺人を可能にする未知の殺人球菌「ギフト」をめぐるノンストップのサバイバル医療ミステリー。主役の藤巻達臣(反町隆史)は、なんと“うだつが上がらない病理医”ですって。絶対、アメリカ帰りの天才外科医だと思ったのに(笑)。
小林:新鮮な役どころですよね。反町さん、実は医療ドラマ初めてなんですって。対立する大学病院の面々は佐々木蔵之介(白鳥稔役)、津田健次郎(郡司博光役)、坂東彌十郎(奥野信二役)と一筋縄じゃいかなそうなラインナップ。
イマ:6年つとめた『相棒』(2015年/テレビ朝日系)を卒業、初の夫婦共演CM(『SHISEIDO MEN』)など、話題盛りだくさんの反町隆史も昨年末に50歳に。新境地が見られそうです。
小林:『ビーチボーイズ』(1997年/フジテレビ系)から27年か…(遠い目)。それにしても、今クールのドラマはおじさんたちが活躍してませんか? 阿部サダヲ、木梨憲武、吉田鋼太郎、西島秀俊、反町隆史と。
イマ:たしかに! 全員50歳以上ですね。つか、ノリさんもう61歳なんだ…。
小林:インタビューしてても思うんですけど、そこそこ苦労してキャリアを積んだ人はやっぱり話が面白いし、引き出しも多い。なんかそういう人ばっかり集めた本を作ってみたいなぁ。吉田鋼太郎が苦み走った顔してカウンターで日本酒飲んでる写真の横にインタビューを添えるみたいな(笑)。
イマ:昔、私の前のCLASSY.編集長が「イケメン俳優のインタビューはもう飽きたから、ベテラン俳優にしろ!」って指令をくだして、急に遠藤憲一、勝村政信、八嶋智人っていうラインナップになったことがあります。あがってきた写真を見て、ライターさんがブーブー文句言ってましたよ、『白目が白くない!』って(笑)。
小林:前の日、深酒してたんですかね(笑)。
もちろんイケメンが主役のドラマも見逃せない
イマ:インタビューの内容は面白いんですけどね…。ただ、何号かしてまた人選がイケメンに戻りました(笑)。てなわけで、私が推すドラマはイケメンが主役の『闇バイト家族』(金曜24時12分/テレ東系)と『アイのない恋人たち』(1月21日22時~/ABCテレビ・テレビ朝日系)です。
小林:どんなストーリーなんですか?
イマ:『闇バイト家族』は闇バイトに加担した5人の老若男女がニセ家族を演じて人生の再起を図る、コメディー要素たっぷりのドラマで、主役の田中颯斗を演じるのは『ゆりあ先生の赤い糸』(2023年/テレビ朝日系)でゲイ役を好演した鈴鹿央士くん。
小林:(相関図を見ながら)ニセ家族の他のメンツもクセが強いですね…、光石研、麻生祐未、山本舞香、綾田俊樹と。そして、謎の男に吹越満。
イマ:第1話を観たんですが、テンポもいいし、妙なおかしみがありました。脚本を担当するのはふじきみつ彦さん〈『阿佐ヶ谷姉妹ののほほんふたり暮らし』(2021年/NHK総合)、『バイプレイヤーズ』(2017年/テレ東)〉と、金沢知樹さん〈『サンクチュアリ -聖域-』(2023年/Netflix)〉の二人。ふじきさんはEテレ『みいつけた!』の脚本やキャラクター作りをやってたり、金沢さんはバラエティー番組の構成作家出身で自分の劇団で脚本・演出を手掛けていたりと、とにかく多才な方たちで、コメディーのセンスも抜群なんです。
小林:もうひとつのイマイズミさんの推しドラマ『アイのない恋人たち』ですが、遊川和彦さんのオリジナル脚本ですね。
イマ:「恋愛偏差値が低いワケあり男女7人が織り成す愛の物語」という内容だそうです。主役は『大奥』(2023年/NHK総合)が素晴らしかった福士蒼汰。他に岡崎紗絵、本郷奏多、成海璃子、前田公輝、深川麻衣、佐々木希というラインナップなんですが、ちょっと不安なのは『となりのチカラ』(2022年/テレビ朝日)とか最近の遊川作品があんまりハマらなくて…。
小林:遊川作品といえば、ちょっと変わった主人公が周囲を掻きまわす話が多いですが、これは群像劇みたいですね。
イマ:番組HPには『「愛がない」「見る目(eye)がない」「自分(I)がない」それぞれにアイが欠けている者たちによるラブストーリー』って書いてあるから、もしかしたらみんな変わり者なのかも。
小林:それはカオスですね(笑)。ともかく、2024年も引き続きドラマ漬けの毎日ですが、今年もいいドラマに出合えますように!
小林久乃(こばやし・ひさの)コラムニスト、編集者。正々堂々の独身。中学生から地上波ドラマを愛して30年以上、筋金入りのオタク。好きが高じてついには『ベスト・オブ・平成ドラマ!』(青春出版社刊)を上梓した。ラブストーリーが好きで、特に禁断の恋がテーマとなると視聴熱が俄然、盛り上がる。公式HPはhttps://hisano-kobayashi.themedia.jp
元JJ編集長イマイズミ 女性誌『CLASSY.』『JJ』の編集長を歴任。1クールの地上波ドラマを全録画するようになったのは、編集長になった13年ほど前から。「仕事で新しい俳優、タレントさんを覚えるため」というのが理由だったけど、見事に大ハマり。ホームドラマとラブコメ好き。韓国ドラマもやや中毒。
イラスト/lala nitta