体調を崩して会社を休んだときに「ご自愛ください」と書いてあるメールを受け取ったことはありませんか? 実はこの「ご自愛ください」、ルールを知らずに書いている人が多く見受けられます。
そこで今回は、マナー講師の筆者が正しい「ご自愛ください」の使い方をレクチャーします。
「ご自愛ください」とは?
そもそも、この「ご自愛下さい」とはどういう意味なのでしょうか?
ネット辞書によると名詞である「自愛」に、接頭辞「御」がついたものとされています。
自愛とは「自分自身を大切にすること」ですから、ニュアンスとしては「お大事に」や「自分自身をいたわって大切にしてください」が近いと言えます。
手紙の結びの挨拶で「時節柄ご自愛ください」というのが一般的にはよく使われていますよね。
具体的な使い方は?
暑さが続く今のような時季は「これからも暑さが続きますので、くれぐれもご自愛ください」とするといいでしょう。
なお、メールで毎回結びの言葉に「ご自愛ください」を入れるのはしつこく感じられますので案件が一区切り付いた場合、もしくは気候の変動や忙しさなどで体調を崩しやすいとき(記録的な暑さが数日続いた……など)に使いましょう。
目上の方に使ってもいいのかと疑問に思う方も多いようですが「自分自身を大切になさってください」というのは男女どちらでも使えますし、丁寧語なので相手が目上であっても問題なく使用することができます。
ありがちな「お体ご自愛下さい」はNG
「お体ご自愛下さい」という書き方をよく見かけますが、実はこれはNGです。
そもそも「ご自愛ください」の意味として“自分自身の体を大切にする”がありますので、“体を大切にする”という意味が二重になってしまいます。これは、よくあるNGなので注意してくださいね。
また「ご自愛ください」を誤変換してしまい「ご慈愛下さい」となってしまうのは少々問題があります。読みは同じですが「慈愛」には“深い愛情”という意味がありますので、「あなたの深い愛情がほしいです」となってしまいます。
これでは相手に誤解をさせてしまいますよね。とくに男女間ではこの誤変換には注意しましょう。
体調が悪い人には使わない
体調を崩している人には「ご自愛ください」は使わないようにしましょう。
繰り返しになりますが「ご自愛ください」は相手の体調を気遣って使うもので、具合が悪くならないようにという意味があります。
すでに体調を崩している人に対しては「回復をお祈り申し上げます」などの、元気になりますようにという締めの文を使うのがマナーです。
他人の体調を気遣う言葉ですので、上手に相手に伝わるようにあらためて使い方を確認しましょう。
文/前濱瞳 画像/PIXTA(ピクスタ)(xiangtao、kou)