なかなか旅行にも行けないご時勢ですが、こんなときこそ韓国の本を読んでみるのはどうでしょう。旅したときに「?」と思っていたことがわかったり、自分にも置き換えられたり。デザインも可愛いからインテリアとしてもおすすめ。
1番近い韓国!?
“CHEKCCORI”の金さんに聞きました!
韓国の純文学はもちろん、エッセイや詩集、マンガなど幅広く取り揃えるブックカフェ。今回は代表で、韓国本の出版にも関わる金さんにお話しを聞きました。
やっぱり韓国と日本は
似ているからこそ共感できる
私はCHEKCCORIのオープン以前から、クオンという出版社を立ち上げ、韓国文学を日本で広める活動をしていました。そんな中、韓国文学ブームがより強くなったと感じたのは2年前。韓国で130万部を越えるヒットとなった『82年生まれ、キム・ジヨン』(著/チョ・ナムジュ)が日本も受け入れられ、15万部の大ヒットとなったことでした。
さらに去年『私は私のままで生きることにした』(著/キム・スヒョン)が22万部を超えるベストセラーとなり、ますます韓国文学が日本に馴染んできたと実感しています。韓国文学の特徴のひとつに、物語のモチーフとして社会問題や、実際の事件や事故が取り上げられていることが挙げられます。『キム・ジヨン』だと、主人公が幼い頃から学生時代、結婚をして仕事をして…という物語を通して、女性がこの社会でどのように扱われているかを考えさせられます。
それは韓国の物語として読めるのですが、読んでいくうちに〝コレって私もモヤモヤしていたことかも〞と日本女性も感じるようです。韓国の本は隣の国のこと、として客観的に物語として読めますが、そのうちに自分のことを考えるきっかけになる。そんなところがJJ世代にも読みやすいと思います。また、自由で多彩な本のデザインも特徴。韓国では本をデザインから選ぶ〝ジャケ買い〞をする人も多いんですよ。文章も縦書きに限らず、横書きやイラストを大きく入れているなど作品によって違うので、そういったところも楽しみながら選んでみてください。
CHEKCCORI
東京都千代田区神田神保町1-7-3 三光堂ビル3F
☎03-5244-5425
平日12:00~20:00 土曜・祝日11:00~19:00
日・月曜定休
※営業についてはHPでご確認ください。
20代の心に刺さる韓国文学6選
今回金さんが紹介してくれたのは、韓国文学の中でも若い作家の作品。普段の生活で感じているモヤモヤが、スッと解消するような作品ばかりです。
キム・ジヨンを通して
女性としての生き辛さに共感
主人公の人生のターニングポイントで立ちはだかる困難や差別を描く。BTSや少女時代のメンバーも読んだことで一気に話題に。映画化も決定。
『82年生まれ、キム・ジヨン』著/チョナムジュ 訳/斎藤真理子¥1500(筑摩書房)
母から娘へ贈られることもある
悩んだときに読みたい一冊
周囲を気にしすぎてしまう人は、ぜひ読んでみて。他人と比べる必要はなく、〝あなたはそのままがいい〟と気づかせてくれる。
『私は私のままで生きることにした』著/キム・スヒョン 訳/吉川南¥1300(ワニブックス)
社会に流されることに
疲れてしまった人にオススメ
「努力は必ず報われるわけじゃない」「やる気は愛情、すり減るもの」など、これまでの考え方とは反対の言葉にハッとする。
『あやうく一生懸命生きるところだった』著/ハ・ワン 訳/岡崎暢子¥1450(ダイヤモンド社)
〝私〟と〝先生〟の対話から
うつ状態の心情がよくわかる
うつ状態が続く〝気分変調症〟の治療の様子を、医師との対話で記録。対話だからこそわかる心理描写が、本が苦手な人でも読みやすい。
『死にたいけどトッポッキは食べたい』著/ペク・セヒ 訳/山口ミル¥1400(光文社)
時や場所を超えた7つの物語
静かで端正な文体で綴られる
高校の文化交流で出会った、日本人ショウコとの出会いから、家族に向き合う表題作をはじめ7つの物語を収録。
『ショウコの微笑』著/チェ・ウニョン 訳/牧野美加、横本麻矢、小林由紀 監修/吉川凪¥2500(クオン)
装丁も可愛くてすぐ読める
KCONでも大人気のシリーズ
知ってたら韓国人にも自慢できる!? 作家の代表作。ハングルの原文も掲載されており、YouTubeでは韓国語の朗読を聴くこともできるので韓国語の勉強にも。
『夜よ、ひらけ』著/チョン・ミギョン 訳/きむ ふな¥1200(クオン)
撮影/杉本大希〈zecca〉 取材/川端宏実 デザイン/吾郷建哉 編集/小林麻衣子
※この記事はJJ6・7月合併号を再構成したものです。