私たちの生活に欠くことができないSNS。友達とのやり取りや発信ツールとしても便利だけど…。誰でも一度は、悲しいことや怒ったことがあるはず。今回は〝映え〞はナシ。真面目にSNSとの付き合い方を考えます。
実際にJJ読者が体験したSNSトラブルを、法律の専門家へ相談。挙がってきたトラブルは、どれも一度は目にしたことがある内容ばかり…。あなたも、無意識のうちにやってしまっているかも。この機会に見直してみて!
SNSにまつわるトラブル、どう対処する?
教えて、菊地先生!
「行列のできる」などでお馴染み
菊地幸夫弁護士
会社関係をはじめ、一般民事事件、家事事件、刑事事件(少年事件を含む)など、幅広く担当。数多くのテレビ番組に出演し、法律の専門家としての意見はもちろん、愛あるコメントが支持される。番町法律事務所に所属。☎03–3230–2336
相談1
インスタのストーリーに何度も同じ人から反応が送られてくる…。無視しているのに何度も送ってくる人ってストーカーみたいに規制できませんか?
菊地先生
無視しているのに何度も同じ人からリアクションが送られてくる場合、相手があなたに恋愛感情を持って行っていれば、ストーカー規制法を適用できる可能性があります。それ以外の感情(恨み、悪戯など)の場合は、ストーカー規制法は使えません。恋愛感情と疑われる場合は、一度相手をブロックするなど拒絶の反応を示してみてください。それでもなお繰り返されるならば、ストーカー規制法の出番。速やかに警察に相談するとよいでしょう。
相談2
YouTubeで人気の曲を「歌ってみた」動画をアップする人が多いけれど、これって著作権とか大丈夫なのですか?
菊地先生
本来、他人が作った楽曲を歌唱、演奏するには著作権者の承諾(使用料を払うなど)が必要です。しかし、著作権の主な管理団体であるJASRACに対してYouTubeは楽曲などの使用の許可を受けている(包括的利用許諾契約)ので、JASRACが著作権を管理する楽曲を歌唱、演奏し、それをアップしたとしてもあなたが改めて著作権者に使用料を支払う必要はありません。ただしこれは歌唱や演奏の際にCD音源などを一切使用しないことが条件なので、注意が必要です。
相談3
アカウントを乗っ取られて、今までの投稿を全部消されてしまいました。これって何か罪に問えないの?
菊地先生
いわゆるアカウントの乗っ取り行為は、不正アクセス禁止法で禁止されている犯罪行為です。この法律は、不正アクセス行為(なりすまし行為など)や不正にアクセスするために他人のパスワード等を取得する行為、それらを助長する行為などを処罰対象としており、なりすまし行為の場合、3年以下の懲役又は100万円以下の罰金という刑罰が、用意されているのでお困りの場合は警察に相談してみてください。また、同じパスワードを長く使わない、SNS毎にパスワードを変えるなどの自衛策にも努めましょう。
相談4
好きなアイドルの写真を自分のSNSに投稿しています。勝手に写真を使って罰せられてしまうことってありえる?
菊地先生
アイドルの写真には、アイドル自身の肖像権・パブリシティ権や、その写真を撮影したカメラマンやアイドルの所属事務所などの著作権などさまざまな権利が伴っています。個人的に使用するのではなくSNSへの投稿という公的な利用をするのであれば、これらの権利者の承諾が必要。著作権の侵害は最高10年の懲役まである重い刑罰が用意されているので注意が必要です。ごく最近、最高裁判所で写真の著作権を侵害したツイートをリツイートした場合もやはり著作権侵害という判決が出ましたので、同様に気を付けてください。
悩んだときは周囲を頼って!
困りごとが発生したら? SOSの窓口はここ!
インターネット安全・安心相談(警察庁)
緊急性のない、ちょっとした疑問はこちら
npa.go.jp/cybersafety/
各都道府県のサイバー犯罪相談窓口(各都道府県の警察本部)
各都道府県に専用窓口があります
npa.go.jp/cyber/soudan.htm
よりそいホットライン(民間団体)
電話やチャット、SNSでの相談にも対応
since2011.net/yorisoi/
イラスト/akemit 取材/川端宏実 取材協力/橋本真由香、山田佳穂〈JJ labo〉、仁科ゆり、平林保奈美〈cosaji〉 編集/宮島彰子
※この記事はJJ10月号を再構成したものです。