2021年末におこなわれた6大ドームツアーを最後に活動休止に入ったAAA。最年少メンバーの與真司郎さんは、現在、アメリカ・LAを拠点にソロで音楽活動やブランドプロデュース業を行っています。約15年に及ぶグループ活動の休止から丸一年が経ち、與さんには、いまだからこそ見えるものがあるといいます。
與真司郎
1988年11月26日生まれ 京都府出身 2005年に男女混合のパフォーマンスグループ、AAAのメンバーとしてデビュー。「SHINJIRO ATAE(AAA)」としてソロ活動も行っている。2016年には、グループに所属しながらアメリカの大学に留学をし、日本とアメリカの2拠点で活動を開始。AAAは、2021年にドームツアーを最後に活動休止に入った。現在は、自身のブランド「446 – DOUBLE FOUR SIX – 」をプロデュースするほか、昨年は著書『すべての生き方は正解で不正解』(講談社)を執筆するなど、多岐にわたる活動をしている。4月23日からは「與真司郎 TALK SHOW 2023」を行う。公式Twitter(@A_Shinjirooooo)
公式Instagram(@shinjiroatae1126)
母の教えで掴んだドーム公演の夢
AAAが活動休止になり、迎えた2回目の春。この季節になると與さんは、デビュー当時のことを思い出すそうです。
「僕は、中3でオーディションに受かってAAAに入ることになりました。当時は京都に住んでいたので、なんとか親を説得して、東京に出てこないといけなかったから必死でしたね。それで、中学校の卒業式の2日後に、親元を離れて上京したんです。懐かしいな〜」
AAAの活動でいちばん学んだことは何だったのでしょうか?
「夢を叶えるにはやっぱり、辛抱も必要ということですかね。芸能界って浮き沈みもありますし、グループで活動している以上は、他のメンバーと比べられることも多いんですよ。そういうときは精神的にも辛くて、辞めたいと思ったこともありました。でも、母が『やろうと決めたことは10年はつづけなさい。そしたら絶対に人生変わるから』と、背中を押してくれましてね。なんとかやり遂げたところ、11年目にドーム公演をすることができました。AAAの活動は『10年つづければ夢は叶う』ということを証明してくれたんです」
「10年辛抱する」という教訓は、LAでの生活でも活かされているといいます。
「最初のころは全然友達もできなかったし、カルチャーのギャップもあったりして、結構メンタルがやられたこともあったんですよね。でも、7年くらい過ごしてきて、ようやく信頼できる友達もできて、いろんな仕事が決まり始めた。やっぱり、僕にとって10年が一区切りなんだなって思いますね」
「一度立ち止まることで、ブレかけていた自分の軸を取り戻すことができた」
AAAでの活動中は「3年先のスケジュールまで埋まっていた」という與さん。休止後は、そのライフスタイルもずいぶんと変わったといいます。
「いままでは、年に2回はツアーが入っていたんですよ。そのほかにもトークショーがあったり、楽曲制作やメディア出演にも追われていて、約15年間働きづくめだったように思います。アメリカ人の友達には『一回止まって考える時間を作った方がいいよ』と言われていたんですけど、あまりピンとこなかったし、休み方も知らないし。結局、そのまま走りつづけてきてしまいました。ただ、忙しすぎると、『自分は何をしたかったのか』、『世の中に対して何を伝えたいのか』を考える時間がなくなってしまうんですよね。グループでの活動が休止して1年、この期間をマイペースに生活をしたことで、ブレかけていた自分の軸を固めることができたと思います」
與さんは、新たに生まれた時間を使って、どんなことに取り組んでいたのでしょうか?
「時間ができたことで、本を書くこともできたし、アメリカでの交友関係も広げることができました。日本人にはない感覚に触れることができて、新鮮な毎日でしたね。タレントとして見れば、『與真司郎はメディア露出も減って、下がり調子なんだろうな』と見えるかもしれませんが、ひとりの人間としては、めちゃくちゃ成長できた1年でした。おかげで、いまは明確にやりたいことが見えています。これから数年でそれを形にしていきたいですね」
「いつかまた、AAAで活動できたら…」
春といえば、始まりの季節。「行動力と継続力の強さが自分の長所」だという與さんに、これから新しいことに挑戦したいと考えている人に向けて、アドバイスをもらいました。
「新しいことを始めるのは、チャンスでもあり、ストレスになってしまうことでもあります。そういうときって、『あの人はうまくやっているのに』と、人と自分を比べてしまうんですよね。すると、自分の軸がブレてしまう。『自分が好きなものは何なのか』、『したいことは何か』。まずはそれをみつけることから始めてみたらいいのでは、と思いますね」
そして、與さんは「一歩目が怖くて踏み出せなかったり、選択を迫られたときに迷ってしまうのも挑戦の醍醐味」だと話します。
「僕も、いまだに新しいことに挑戦するのはめちゃくちゃ怖いですよ。でも、怖いと思うことにチャレンジすると、乗り越えたときの達成感が格別なんですよね。だから、選択を迫られたときには、敢えてリスクを取るようにしています。その方が、大きな成功も大きな喜びも得られるんじゃないかな、と。いつでも、険しい道を選ぶのが僕の人生なんですよ(笑)」
最後に、與さん自身がこの春に挑戦してみたいことを教えてもらいました。
「4月23日からトークショーイベントで全国を回るので、まずはそれを頑張りたいなと思います。今後の挑戦という意味では『與真司郎にしかできないこと』をやっていきたい。いまの僕だからできることは、海外に住んで再発見した日本の良さを伝えていったり、向こうの良い部分をシェアしたりということなのかなと考えています」
グループが活動休止してからも、歩みを止めることがない與さん。「いま、AAAが活動再開したら、すごいことになりそうですね?」と、期待をストレートにぶつけると、「メンバーそれぞれがいろんなことに挑戦しているから、きっとおもしろいでしょうね。また集まることができたらいいなと思います」と、可能性を示してくれました。いつか訪れるその日に向けて、與真司郎さんの旅はまだまだつづきます。
撮影/まくらあさみ 取材/小石原悠介 編集/菅原南美