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【JJドラマ部】最後まで観たい2024春ドラマランキング【中間報告】

『アンチヒーロー』(TBS)公式ホームページより

いよいよ中盤戦に入った2024年春ドラマ。今クールは話題作が豊富で絞り切れないなか、コラムニスト小林久乃と元JJ編集長イマイズミのドラマオタク2人がそれぞれ「これは最後まで観たい!」作品をピックアップしました。

【コラムニスト小林が選ぶ最後まで観たい春ドラマ】
◎『虎に翼』
①『9ボーダー』
②『95』
③『アンメット ある脳外科医の日記』
④『ソロ活女子のススメ4』
⑤『おいハンサム‼ 2』

【元JJ編集長イマイズミが選ぶ最後まで観たい春ドラマ】
◎『虎に翼』
①『アンチヒーロー』
②『アンメット ある脳外科医の日記』
③『おいハンサム‼ 2』
④『滅相もない』
⑤『RoOT/ルート』

史上最高の朝ドラ!『虎に翼』は全人類が観るべし

元JJ編集長イマイズミ(以下、イマ):いわゆる連ドラの範疇ではないですが、どうしても『虎に翼』(月~金8時/NHK総合)について語りたいんですけど!

小林久乃(以下、小林):わかります! 朝ドラのターゲットではない層まで観ているという意味でも、『あまちゃん』(2013年/NHK総合)以来の盛り上がりじゃないでしょうか。私の周りの若い子たちやおじさんたちまでもが話題にしてるし。

イマ:『虎に翼』の素晴らしいところはいくつもあるんですが、なんといっても主演の伊藤沙莉(猪爪寅子役)が魅力的ですよね。特に、アップになったときの顔芸が凄い! 喜怒哀楽が複雑に入り混じった表情は見事としか言いようがない。

小林:あと、動きが機敏で、つい目で追っちゃいますよね。小柄なせいか、早送りしているみたいで可愛らしい(笑)。そういえば、以前、彼女が出演している舞台を観に行ったんですけど、劇中ずっと動いてましたよ。

イマ:朝ドラヒロインにありがちなドジっ子キャラじゃないところや、子役を使わずに初回から伊藤沙莉で始めるのも新鮮でしたね。

小林:朝ドラだからもちろん、猪爪家や明律大学女子部の面々など、他の俳優陣も素晴らしいんですけど、名前もないような役の人たちにもきちんと演出が行き届いているのが、今までの朝ドラと違うなと思いました。

イマ:男子に泣かされる女の子や浮かない顔の奉公人の女性など、ただの通行人にも演技をさせていることに気付いたときは鳥肌が立ちました。

小林:引きの画面のときも気が抜けないですよね。誰一人、無駄なことをしていない。

イマ:そのへんが気になりだして、初回から見直したんですよ。そしたら、桂場(松山ケンイチ)が焼き芋をほお張ろうとした瞬間、寅子に話しかけられて食べられない。うわっ、最初からこの演出やってたんだ!って。(今後もこのシチュエーションは頻出する)

小林:ホント細かいですよね。あと、劇中のセットもよく考えられていると思います。公式HPによると、猪爪家は役者や衣装が映えるように彩度を抑えた落ち着いた色調のセットにしているらしいです。そして、猪爪家の台所や甘味処「竹もと」など、手前の柱が効果的に使われていて、奥行きを感じるような絵作りになっているのも凄いなと。

イマ:細かいついで言いますけど、ナレーションの尾野真千子、素晴らしくないですか? あんなに登場人物の心情を表現するナレーション聞いたことないです。

小林:淡々と読むというよりは、しっかりと声の演技をしていますよね。しかも寅子のキャラクターに合ってる。って、細かいところばっかり褒めていたら話が進まないですね(笑)。それにしても、このドラマを観ると日本の法律って酷かったんだなって思い知らされます…。女性ってだけで「無能力者」はないでしょ!

イマ:1930年代は日本だけでなく、世界的にもまだまだ女性の権利は制限されていましたからね…。ドラマの中でも、女性が弁護士になれるかどうか、法改正の行く末にヤキモキするシーンがありました。

小林:でも、この時はまだ、女性は裁判官にはなれないんですよね。公式HPのインタビューで脚本の吉田恵里香さんは「強い女主人公」を描きたかったと言っていましたが、まさに寅子は世の中を変えていこうというパワーに満ち溢れている。寅子のモデルになった三淵嘉子さんは日本初の女性弁護士になった後、日本初の女性判事、女性裁判所長になります。

イマ:主題歌『さよーならまたいつか!-Sayonara』(米津玄師)の2番の歌詞にも、「したり顔で 触らないで 背中を殴りつける的外れ 人が宣う地獄の先にこそ 私は春を見る」とありますが、これこそが「はて?」って言いながらガシガシ突き進む寅子の強さ!ホント惚れ惚れします。

小林:彼女が戦う理由は、自分のためじゃなくて、虐げられている立場の人のためっていうところが視聴者の共感を呼ぶんでしょうね。

イマ:今後は、滝藤賢一(多岐川幸四郎役)、岡田将生(星航一役)、沢村一樹(久藤頼安役)という新キャストも続々登場ですよ! 私、朝が楽しみすぎて、まずBSで7時半から観て、その後8時のも観てます。

小林:今からもう『虎に翼』ロス確定ですね(笑)。

『アンメット』で若葉竜也が世間に見つかった!

イマ:さて、通常の春ドラマに戻しましょう。私と小林さん二人とも選んだのが『アンメット ある脳外科医の日記』(月曜22時/カンテレ・フジテレビ系)です。

小林:今クールは『366日』(月曜21時/フジテレビ系)、『9ボーダー』(金曜22時)、『くるり~誰が私と恋をした?~』(火曜22時/ともにTBS系)と、やたら記憶喪失ものが多いんですよね。

イマ:原作漫画はモーニング(講談社)で連載されているんですが、何を考えているかわからない三瓶友治(若葉竜也)から、主人公を記憶喪失の脳外科医・川内ミヤビ(杉咲花)に変更したのがとても良かったと思います。

小林:ミヤビが記憶喪失になった経緯を小出しにしながら話が進むので、毎回ぐっと引き込まれます。杉咲花は映画『市子』(2023年)の時と同じく、メークでそばかすを隠していないのも話題になりましたね。深津絵里以来じゃないかな、そばかすが似合う女優って。

イマ:小林さんに勧められて、すぐにその映画を観ました。杉咲花も凄かったけど、若葉竜也も強く印象に残りました。『おちょやん』(2020年/NHK総合)の時は気づけなかったなー。このドラマでも、原作漫画の三瓶先生が「そこに出現した」って感じのリアリティーがあります。

小林:俳優としては珍しいと思うんですが、彼は最初の段階から脚本作りに参加したり、若手俳優を起用するようオーディションを提案したりと、本気で制作に関わっている感じもいい。

イマ:『虎に翼』もそうですけど、細かいところまでこだわって丁寧に作っているドラマってやっぱり見応えありますよね。

小林:第2話でミヤビと患者の高校生が泥だらけになってボールを蹴り合うシーンがあるんですけど、服や体についた泥の乾き方が自然なんですよ。

イマ:細かっ!(笑)。

小林:効率を考えて撮影する順番を変えていたら、絶対にああいう感じにならない。

イマ:そもそも効率を第一に考えてたら、若葉竜也を起用しないですもんね。

小林患者や同僚、そして自分に対してもきちんと向き合うことの大切さをミヤビから学べる良いドラマです。

人気ドラマの続編は軽々と前作超えのクオリティー

イマ:そしてもう一本、二人がかぶったのは『おいハンサム‼2』(土曜23時40分/フジテレビ系)。続編だからどうなるのかなーと思ってたんですけど、いいですね、やっぱり。安定感が増しています。

小林長女・由香(木南晴夏)、次女・里香(佐久間由衣)、三女・美香(武田玲奈)の三姉妹は、どんどんこじれてきましたね(笑)。

イマ:美香の同僚・シイナ(野波麻帆)やご近所さんのミチル(藤田朋子)も変人度が増してるし、新キャラの美香の彼氏のユウジ(須藤蓮)やストーカーの翔子(逢沢りな)など、気が付いたらヤバいやつだらけに(笑)。

小林:大森(浜野謙太)と渡辺(太田莉菜)のラブラインや、どう絡んでくるのか謎の原さん(藤原竜也)の登場で世界観がぐっと広がっていますね。

イマ:でも、伊藤源太郎(吉田鋼太郎)と千鶴(MEGUMI)の夫婦は定点で変わらない。そこが安定感につながってるんですかね。一見、コメディードラマに見せかけて、最後に大切なテーマを源太郎が語って締める展開もいい。

小林:この流れはもう絶対映画を観に行きたくなりますよね。

イマ:行きましょうよ! 反省会も込みで(笑)。

昔話が異常に盛り上がる平成の若者たちを描いたドラマ

小林:ここからは、それぞれの推しドラマについて語りたいんですけど、私は『95』(月曜23時06分/テレビ東京系)、特に髙橋海人くん(広重秋久役)の演技を推します! ちょっと情けない役を演じると、普段のイケメンぶりを完全に封印できるところが彼の凄いところ。

イマ:最初は違和感あったんですけど、回を追うごとにメンディー(新川道永役)の高校生役が気にならなくなりました(笑)。このドラマ、しょっちゅうタバコ吸ってますよね。最近、ドラマでの喫煙シーンが増えてませんか? 『不適切にもほどがある!』(2024年/TBS系)もそうだったし。

小林:1990年代はタバコ、酒、ナンパで不良を気取れた時代。小道具としてタバコは必要なんでしょう。

イマ:ちょっと引っかかるセリフがあって、95年当時の若い子たち、「ウケる~」って言ってましたっけ? あと、男も女ももっと真っ黒だった気が…。

小林:私、2000年代最初のほうは『Ranzuki』(黒肌ギャル向けの雑誌)の編集部員をやってたんですけど、その頃はみんな真っ黒でした(笑)。

イマ:時代ですよねー。

小林:細かいツッコミはさておき、地下鉄サリン事件をストーリーに絡めたり、ときおりザラッとした質感の映像を挟んだりして、当時の空気感が出せていると思います。

イマ:ストニュー(『東京ストリートニュース!』)みたいな雑誌も出てきましたね。

小林ストニューといえば妻夫木聡! 懐かしい…。

イマ:『ふてほど』の時もそうだったけど、やっぱり昔話は盛り上がりますね(笑)。

日曜劇場らしいスケールの大きな法廷ドラマ

イマ:私の今クール一押しは日曜劇場『アンチヒーロー』(日曜21時/TBS系)です。予想通り、長谷川博己(明墨正樹役)のセリフ回しがカッコいい! 明墨が法廷で相手をやりこめるシーンはホントに胸がすく思いです。

小林一つ一つの事件が実は複雑に絡み合っているという、巧妙な脚本ですよね。4人チームで書いているから、展開のアイデアがいろいろ出てくるのかも。

イマ:退場したと思っていた緋山(岩田剛典)が第5話のラストに出てきた時は「ええ⁉」って声が出ましたよ。こういう事件ものって、回ごとにゲストが変わりがちなので、完全に油断してました。

小林:最終的に志水(緒方直人)の冤罪を証明するために、伊達原検事正(野村萬斎)と対決する流れでしょうね。

イマ:そこにいくまでの過程で、謎を小出しにしてくるところがじれったくて、次回が待ち遠しくなる。大テーマである正義とは何なのか、罪とは何なのかを、アンチヒーロー明墨がどんな答えを出すのか楽しみです。

小林:それにしても『バナナマンのせっかくグルメ!!』(TBS系)でオーバーオール着なかったよね、長谷川博己。

イマ:たしかに! 阿部寛も堺雅人も『VIVANT』(2023年/TBS系)の番宣で出たときは着てたのに!(笑)

記憶喪失のダメ男キャラに全女子がうっとり

小林『9ボーダー』(金曜22時/TBS系)は『おいハンサム‼2』と同じく三姉妹が主人公ですが、こっちも好きです。ていうか木戸大聖くん(高木陽太役)が好きです(笑)。

イマ:だろうと思いましたよ(笑)。木南晴夏はどっちも三姉妹の長女役ですね。あと、他のドラマと設定がかぶってるコウタロウ(松下洸平)の「記憶喪失」。

小林:私の周りではコウタロウ旋風が吹き荒れています!

イマ:ええ?あんなダメ男が?

小林記憶喪失なうえに、「頑張ってる君が好き」的なベタなラブソングを歌ったり、タンシチューを作るくらい料理上手だったり、もう、全女子がうっとりしてますよ。

イマ:へー(棒読み)。

小林:このドラマ、登場人物が多いわりにそれぞれのキャラがはっきりしているから、とても観やすいんですよ。働く女子とママキャリア、Z世代とアラサー、しごでき経営者とポンコツなど、いろんな対比になってるのもいい。脚本の金子ありささん、さすがだなと。

イマ:ところで、小林さん、29歳とか39歳は何してたんですか?

小林:どっちも婚活してたんだけど(笑)。「9」のつく年は男女問わずいろいろありますよね。

イマ:私の次くる「9」は59歳か。還暦間近で何もないわけなさそうだな…。

これからの時代に必要なのはソロ活ガイド

小林:まあ、婚活的な話が出たんで続けますけど、『ソロ活女子のススメ4』(水曜25時/テレビ東京系)が今の私にはいいですね。私自身、ソロ活愛好家だし。

イマ:女性誌の編集長をやってた頃はさんざん結婚しろ!結婚しろ!って誌面であおってましたが、今あらためてこのドラマを観ると「ソロ活もいいなー」って思うようになりました。

小林:最初のほうは一人で行動することに注力してたけど、だんだんと五月女恵(江口のり子)に社会性が出てきた。

イマ:国立科学博物館で女子高生と喋ってましたもんね(第6話)。

小林:シーズン1ではリムジン貸し切りみたいなことやってたけど、シーズン4は台湾ひとり旅などリアリティーのあるシチュエーションが増えてきました。ドラマというよりソロ活の参考資料に近いかも。女性版『孤独のグルメ』を目指してるのかな?

イマ:あれは五郎さんがひたすら美味しいご飯食べてればいいけど(笑)、今後ソロ活のバリエーションを増やしてくのは大変そうですね。

小林:これから独身女性は増える一方だから、ソロ活の需要はもっと高まりそう。

イマ生涯未婚率でいうと男性の方が高いから、本当に必要なのは男性版かも…。

深夜ドラマならではのひと味違う演出が新鮮

イマ:あとは私の推しドラマが2本ですね。『滅相もない』(火曜25時28分/TBS・MBS系)ですが、日本にあらわれた7つの巨大な穴っていう設定がわけわからないし、舞台のようなセットで回想シーンが始まったり、その後ろでバンドが演奏し始めたり…。

小林:私、撮りだめたままで、まだ観てないんですよ。

イマ:じゃあ、ますます何言ってるかわかりませんよね?(笑)。たしかに設定とか演出とかは特殊なんですが、語ってる内容はとてもリアリティーがあるんですよ。身につまされるエピソードも多いし。

小林:観る人を選びそうですね。去年の年末にやってた『あれからどうした』(2023年/NHK総合)も、語る人によって風景が変わって見えるっていう斬新な演出のドラマでしたね。

イマ:同じように「なにこれ見たことない!」ってなるドラマです。俳優も実力派揃いだから、妙な設定もなんだか納得させられるし。

小林:急いで観てみますね。あとは『RoOT/ルート』(火曜24時30分/テレビ東京系)ですか?

イマ:このドラマ、登場人物が多くてこんがらがった話なんで、Netflixで一気見するといいかも。

小林『私立探偵 濱マイク』(2002年/日本テレビ系)っぽい雰囲気ですよね。

イマ:うわっ、懐かしい。よく20年以上前のドラマがさらっと出てきますね(笑)。コメディータッチな中にシリアスな展開もあるところは共通点ありますね。なんかオシャレだし。

小林:やっぱり河合優実がいいですよねー。

イマ:潜入調査でクラブのホステスになるシーンがあって、妙に色気があるんですよ。

小林中森明菜顔だからね(笑)。

イマ:クラブは敷居高いけど、スナックにいたら通っちゃいそうです。

小林:あ、私もスナックで働いてみたい。いろんな人間模様を観察できそうだし。

イマ:酔って喋ったこと記事のネタにされそうで怖いんですけど(笑)。このドラマ、アニメ『オッドタクシー』(2021年)と登場人物がかぶってるから、それを比べながら観るのも楽しいです。

小林:一応、推しドラマをあげたけど、まだまだ続けて観てるのがあるんですよ。『Destiny』(火曜21時/テレビ朝日系)とか『ブルーモーメント』(水曜22時/フジテレビ系)とか『Re:リベンジ-欲望の果てに-』(木曜22時/フジテレビ系)。それぞれ亀梨和也、山下智久、錦戸亮が出ていて、なんか平成ドラマみたいな俳優陣だなーって。

イマ:私も『366日』『Believe -君にかける橋-』(木曜21時/テレビ朝日系)は継続してますよ。

小林:後半に向けて盛り上がっていくか、逆に尻すぼみになっていくか、はたまた大どんでん返しがあるか、しっかり見守っていきたいですね。

小林久乃(こばやし・ひさの)コラムニスト、編集者。正々堂々の独身。中学生から地上波ドラマを愛して30年以上、筋金入りのオタク。好きが高じてついには『ベスト・オブ・平成ドラマ!』(青春出版社刊)を上梓した。ラブストーリーが好きで、特に禁断の恋がテーマとなると視聴熱が俄然、盛り上がる。公式HPはhttps://hisano-kobayashi.themedia.jp

元JJ編集長イマイズミ 女性誌『CLASSY.』『JJ』の編集長を歴任。1クールの地上波ドラマを全録画するようになったのは、編集長になった13年ほど前から。「仕事で新しい俳優、タレントさんを覚えるため」というのが理由だったけど、見事に大ハマり。ホームドラマとラブコメ好き。韓国ドラマもやや中毒。

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