普段会話をするなかで、敬語を使う機会は多いですよね。
しかし、当たり前に使っていた言葉が、実は間違っていた……というケースも少なくないようです。
今回はマナー講師であり「敬語力検定1級」(NPO法人 日本サービスマナー協会主催)の筆者が、敬語の間違いについてご紹介します。
■知っておきたい敬語の基本
基本的に敬語は「尊敬語」「謙譲語」「丁寧語」の3つに分類されます。
尊敬語は相手に敬意を表す言葉遣いになり、謙譲語は自分自身や身内、社内の人や物事に対してへりくだった表現になります。
また、丁寧語に関しては言葉遣いを丁寧にすることで相手に敬意を示す言葉になりますので、尊敬語と混同しないよう注意してくださいね。
それでは実際に、よくありがちな敬語の間違いについてチェックしていきましょう!
(1)「お食事に行ってきます」
さて、一見どこがNG敬語なのだろうと不思議に感じた方は多いのではないでしょうか?
実は「お食事に行ってきます」の“お食事”というワードがNGなんです。
なんとなく丁寧な言い回しのような気がして、何気なく使っていたという方は要注意。自分自身に尊敬語を使ってしまっているため、正しい敬語の使い方とは言えません。
ここでは「食事に行ってきます」が正しいので、注意しましょう。
(2)自分に対して「召し上がりました」
この敬語も、どこか丁寧な言い方に感じるかもしれませんが実は間違い。
この場合も、自分に対して尊敬語を使ってしまっているため、NGです。
正しくは、謙譲語にあたる「いただきました」を用いましょう。
また、相手へ食事を済ませたかどうか確認する際には、尊敬語の「召し上がりましたか?」が正解。“尊敬語”と“謙譲語”を混同しないよう要注意です。
(3)「お帰りになられる」
上司から「〇〇さんはもう帰った?」と聞かれた場合、「〇〇さんはお帰りになられました」と言っていませんか?
一見、正しい敬語に思えますが、二重敬語に該当してしまうためNGです。“お”と“なられる”という二つの敬語を使っていますよね。
このような場合には「お帰りになる」と言いましょう。
よく使う表現は、あらかじめ言い回しとして覚えておくと安心です。
(4)「ご出席される」
こちらも社会人として、会議や集まりの際に間違えてしまいがちなNG敬語でしょう。
「ご出席される」は二重敬語にあたりますので、この場合は「出席される」が正解です。
たとえば、結婚式の招待状が届いたときには「ご出席」と“ご”が表記されていますよね。
その“ご”を消して、「喜んで出席させていただきます」と訂正して返信する場面を思い浮かべると、忘れにくくなるでしょう。
(5)「お伺いさせていただきます」
取引先などへ訪問する際に、間違えがちな敬語です。
鋭い方はすでにお気づきかと思いますが、こちらも二重敬語にあたりますので注意しましょう。
正しくは「伺います」です。
二重敬語は自分では気づかないうちに定着してしまっているケースが多いので、気をつけましょう。
(6)「お体ご自愛ください」
最後に紹介するのは、上司が体調を崩してしまったときに使いがちな間違い敬語です。
「ご自愛ください」には、すでに「お体」という意味も含まれているため、重複表現にあたります。正しくは「ご自愛ください」です。
間違えがちな敬語について紹介しましたが、きちんと使いこなせていましたか?
今回の記事を参考に今一度、敬語について理解を深めてみてくださいね。
文/前濱瞳 画像/PIXTA(ピクスタ)(IYO、xiangtao、zon、Fast&Slow、YAMATO、プラナ、kou) 参考文献/阿部開道『必携!ビジネスマナー』西東社