今回は、似たような言葉でも工夫次第で印象が変わるテクニックをご紹介します。
Around25の読者の皆さんは、仕事にも慣れ、これからますます活躍が期待されている世代。
言葉のテクニックを上手に活用することで、与える印象や相手の思考をよい方向に向けることができます。次へのステップアップのためにも、知っておきましょう。
■「和語」と「漢語」とは?
はじめにご紹介するテクニックは、和語と漢語の使い分けについてです。
言葉はとても難しく、言い方や言葉遣いによっては「冷たい」「こわい」と誤解されたり、頼りない・弱々しい印象に見られてしまうことがあります。
同じような意味合いの言葉でも、どのような言葉を使うかによって受け取る印象が変わっていきます。
ここでは大まかに、やわらかく聞こえるのが「和語」、 きちんと感が強いほうが「漢語」と覚えておきましょう。
■「和語」「漢語」の使い分け例
たとえば、「ご招待いただきましてありがとうございます」(漢語)と「お招きいただきましてありがとうございます」(和語)では、受け取る印象が少し変わりますね。
ビジネスでの会話やメールでのやり取りのなかで、「漢語」を使っている方は多いのではないでしょうか。
「漢語(音読み)」は、きりっと引き締まるようなきちんと感のある印象に。「和語(訓読み)」はとげがなく、優しい口調に聞こえます。
【漢語】「ご意見をお聞かせいただけますか」
【和語】「お考えをお聞かせいただけますか」
【漢語】「ご不明点がございましたらご連絡くださいませ」
【和語】「ご不明点がございましたらお知らせくださいませ」
【漢語】「ご配慮いただきまして誠にありがとうございます」
【和語】「お気遣いをいただきまして誠にありがとうございます」
自分ではそんなつもりがなくても、「冷たい」「こわい」と言われてしまう方や、もっと優しい・やわらかい印象を与えたいという方は、ぜひ和語を意識して使ってみましょう。
反対に、頼りない・弱々しい印象に見られてしまう方は、漢語を意識して使うことで、仕事ができるキリっとした印象を与えることができます。
相手やTPO、与えたい印象に合わせて上手に使いわけましょう。
■「あとよし言葉」とは?
人は最後に言われた言葉のほうが強く記憶に残ると言われています。
たとえば、
A「注射は効き目がありますが、痛いです」
B「注射は痛いですが、効き目があります」
Aのように言われると「痛い」というフレーズが強く印象に残り、「痛いのか、嫌だな、こわいな……」と感じるはずです。
Bの場合は、「注射は嫌だけれど、予防のために頑張ろう!」となりやすいですよね。
このように、最後によい表現を用いることを「あとよし言葉」と言います。
■「あとよし言葉」の例
メリットとデメリットを伝える場合、「プラス面→マイナス面」ではなく、「マイナス面→プラス面」の順番で伝えることで、プラス面のよい印象を強く残すことができます。
A「こちらの商品は性能がよく長持ちしますが、少し予算オーバーです」
B「こちらの商品は少し予算オーバーですが、性能がよく長持ちします」
AもBも同じことを言っていますが、Bのように言われると、「少し予算オーバーだけれど、長く使えるし、買っちゃおうかな」と前向きに購入を考えるでしょう。
人の記憶にマイナスな点が強く残るのか、プラスな点が強く残るのかによって受け取り方やその後の行動が変わってきますね。
プレゼンをするときや、お客様に自社製品をおすすめする際、上司を説得する場合など、さまざまな場面で「あとよし言葉」を上手に使うことで、購買意欲や相手の考え方を動かし、仕事もよい方向に向けることができます。
どんな言葉を使うのかで、相手へ与える印象も変わってきます。言葉を味方にすることで、仕事がさらに円滑に進むと思いますよ!
文/西谷依里子 画像/PIXTA(ピクスタ)(metamorworks、Kazpon、プラナ)