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カロリーメイトやソフトバンクの広告も!同世代写真家・石田真澄さんのコトバ②

女子高生が走るソフトバンクのビジュアルに、空手着が勇ましい部活男子のカロリーメイト広告。石田真澄さんの写真はどこか優しく、(自分は体験したことがなくても)懐かしく、胸をぎゅっと掴まれる。映える写真を撮れる人はたくさんいるけれど、石田さんは何が違うんだろう?
――キラキラな表参道のイメージとはちょっと違う、裏手にある喫茶店でお話を聞きました。
本日はインタビューの後半をお伝えします。

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カロリーメイトやソフトバンクの広告も!同世代写真家・石田真澄さんのコトバ①

高校生の時の自分を裏切りたくない。

——それは本当にそうですよね。ではクライアントからのオーダーで、「またか!」みたいに思ったりすることはありますか? 「青春っぽい写真をお願いします」みたいな。

石田さん:私の写真を見てオファーしてくださっているから、もちろんそれはありますね(笑)。相手が完全に思い描いている図みたいなのってあるじゃないですか。だからそれにはいい意味でそのとおりにはならないように、予想を超えていきたいなと。
 例えば「女のコを喫茶店で撮ってほしくて」って言われると、バストアップでクリームソーダと一緒にねっていう構図は簡単に思い浮かべられますよね。そういうときは自分がいち高校生だったときの視点を思い出すんです。高校生の自分がその写真を見て「あ、またこの感じね」って思うようなことはしたくなくて。高校生のときって純粋に写真とか雑誌が好きで、コッチの事情は何も知らないから厳しい目で見てるじゃないですか(笑)。お金とか時間の制約も知らないから。でもその視点は絶対に忘れたくない。
 だからこそ相手のオーダーの延長線上で安全策を取るよりかは、何かを変えたいなって思いますね。

好きなことを見つけるのに 焦るって、なんか変。

――同じ20代の中にも石田さんのように好きなことに出合えた人もいれば、まだ見つかっていなかったり、就職をどうしようと悩んでいる人もいると思うんです。

石田さん:好きなことに出合えるのって本当にたまたまだったり、運もあるんだろうなと思っていて。高校生のときに「将来のことを考えて大学を選びなさい」「将来どうしたいの?」って先生に言われまくっても、そりゃ難しいよって感じでした。好きなことを見つけようと気負いすぎると、「たぶん私はこれがやりたいんだ」って変に自分の中で方向性を固めちゃって、結果失敗してしまうことだってありますよね。もっと後でやりたいことが見つかることもあると思うので。だから焦らないほうがいいのかなって。好きなことを見つけるのに焦るなんて、なんだかおかしいですよね。
 あとは時間があるならいろんなものを見たり、やってみたりするのもいいことだと思います。私は高校のときから何かを目で見ることが好きだったので、広告、雑誌を見たり、美術館や映画館にも一人で行っていました。

——石田さんの今後の目標というか、写真を通して伝えたいことはありますか?
石田さん:そうですね、自分の写真そのものを通して伝えたい哲学のようなものはないですが、自分が大好きな広告や雑誌を同世代の人に見てもらえるきっかけを作れるようになったらいいなと思っています。

——雑誌とSNSでは何が違うと思いますか?
石田さん:雑誌って自分の“好きなもの以外”も載ってるじゃないですか。普段自分が見ないものが。SNSも楽しいんですけど、ピンポイントで情報を探せちゃうのに対して、雑誌はもう少しざっくばらんに載っていて、次のページを開くと今まで知らなかったもの、こと、人が載っていたりして。そこが好きなんです。ある種の出合いの場ですよね。だから好きが見つからない同世代にこそ、雑誌を読んでほしいです!

――ほんと、勇気をもらえる言葉をいただいて。ありがとうございました!

今回はJJ12月号に掲載した写真家・石田真澄さんのインタビューをお伝えしました。JJ12月号ではaround20「私たちの明日を変える53人」のインタビュー特集をしています。あわせてチェックしてみてくださいね。

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石田真澄
1998年生まれ。2017年5月に初の個展「GINGER ALE」を開催、2018年には初作品集も刊行。現在、大学4年生。雑誌や広告などで広く活躍している、JJ世代の写真家。

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